韓国リビングデザインの節目
第30回ソウルリビングデザインフェア

韓国のリビングデザインシーンを牽引してきた「ソウルリビングデザインフェア」が、第30回の節目を迎え、2024年2月26日から3月2日まで展示コンベンション施設であるCOEX(ソウル・江南)にて開催された。今年のテーマは「2025ライフホワイトペーパー:人生のロマンス」。会場は4つのホールにわたり、韓国を代表するデザイン出版社であり、人間中心のコンテンツを掲げるDESIGN HOUSE、COEX、そして放送局MBNの共催のもと、雑誌『HOME LIVING & STYLE』が主催を務めた。出展ブランドは500以上にのぼり、韓国市場への強いフォーカスを保ちつつ、イタリアやデンマークの有名ブランドの参加や、日本からの来場者の増加など、国際的な広がりも見せている。

本フェアは毎年、リビングおよびインテリアデザインの「今」と「これから」を提示する中心的プラットフォームとして、常に注目を集めている。© Seoul Living Design Fair

雑誌の誌面から、リアルなマーケットへ——フェア誕生の背景

1990年代、韓国では経済成長と生活水準の向上に伴い、住空間と暮らしの美意識が大きく進化した。そうした時代の中で1987年に創刊された生活情報誌『HOME LIVING & STYLE』は、暮らしの質や住まいの美しさを重視する人々にとって欠かせない存在となった。

現在の編集長であるイ・ジヒョンはこう振り返る。「新刊が出るたびに、誌面に掲載された家具や照明の購入に関する問い合わせが編集部に殺到していたと聞いています。その熱量こそが、読者とのリアルな接点であり、やがて『この素敵なプロダクトを一堂に集めて、直接手に取れる場をつくろう』というアイデアに結びついたのです。それが現在のデザインフェアの原点でした」。