抽象絵画の先駆者、アジア初の大回顧展
「ヒルマ・アフ・クリント展」開催中

Photos by Miyoshi Fumitaka

東京都千代田区の東京国立近代美術館では、謎につつまれた画家の全貌に迫る「ヒルマ・アフ・クリント展」が2025年6月15日(日)まで開催中。会場構成は建築家 西澤徹夫が担当している。

スウェーデンの裕福な家庭に育ったヒルマ・アフ・クリント(1862~1944)は、王立芸術アカデミーを優秀な成績で卒業し、職業画家として活動を開始した。その一方で、神秘主義などの秘教思想やスピリチュアリズムに傾倒。交霊術の体験を通して、アカデミックな絵画とは異なる抽象表現を生み出した。

表現の先駆性や緻密な体系性などの点では、モダン・アート史のなかでも重要な存在であり、ワシリー・カンディンスキーやピート・モンドリアンといった同時代のアーティストに先駆けて抽象絵画を創案した画家として、近年世界的で再評価が行われている。

アジアで初の展覧会となる今回は、アフ・クリントのキャリアにおける最良の成果と言える、高さ3m超・10点組の絵画「10の最大物」(1907)をはじめ、すべて初来日となる作品約140点を展示。さらに、代表的な作品群「神殿のための絵画」を中心として、画家が残したスケッチやノートなどの資料、同時代の神秘主義思想・自然科学・社会思想・女性運動といった多様な制作の源泉を紹介する。

多様な抽象的形象、画面からあふれるようなパステルカラーの色彩、そして圧倒的なスケールは、観る者を惹きつけ、唯一無二の体験に誘ってくれるだろう。End

ヒルマ・アフ・クリント展

会期
2025年3月4日(火)~6月15日(日)
休館日
月曜日(ただし3月31日、5月5日は開館)、5月7日(水)
開館時間
10:00~17:00(入館は閉館の30分前まで)
※金曜・土曜は10:00~20:00
会場
東京国立近代美術館 1F 企画展ギャラリー
(東京都千代田区北の丸公園3-1)
詳細
https://art.nikkei.com/hilmaafklint/