NEWS | プロダクト
2025.04.17 10:13
「KUU -Husks of Light-」
東京を拠点とするデザイナー 三谷 悠(みたに・はるか)はこのほど、新作照明シリーズ「KUU -Husks of Light-」をミラノサローネ内のサローネサテリテで発表。古文書の修復に使用される薄さ0.03mmの透明な和紙「典具帖紙(てんぐじょうし)」を用いて、儚さと空間の知覚を探求する彫刻的な照明のインスタレーションを披露した。
一般的な和紙は繊維が長く、光を柔らかく通すため、古くより灯りに用いられてきた。和紙を分解するように皮膜ほどの薄さにして重ねたシェードは、光をまとうことで、奥行きを感じさせるとともに、「光る空気」をはらんでいるようにも見える。三谷は「建築におけるvoid(空間)、例えば中庭や吹き抜けにインスピレーションを受けています」と説明する。
この薄くて軽い和紙を自立させるために、三谷は2つの方法を採用。1つは「スチールの線形フレームに障子のように貼り込む方法」、もう1つは「張り子のように紙を木型に貼り合わせて立体を形成する方法」で、いずれも工業的な手法とクラフト的な手法を掛け合わせたものだ。
「かげろうの羽」とも呼ばれる典具帖紙は、その薄さゆえに、見る者に儚さを感じさせる。「KUU -Husks of Light-」は、透明感のある和紙と光の繊細な重なりが独自の空間知覚をもたらし、細やかな身体的感覚を呼び起こすインスタレーションだ。