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2025.04.08 19:06
「リモート時代に訪れるに足る鏡写しの変形機構彫刻建築」あるいは「人類が見たことのない有機的な変形を持つ風景の変換装置」——アーティスト、落合陽一がそう表現するのは、彼が手がけた初めての大型建築で、テーマ事業プロデューサーも務めている大阪・関西万博シグネチャーパビリオン「null²(ヌルヌル)」。落合はこのパビリオンで人類がまだ見たことのない「未知の風景」と鏡の再発明のような「未知の体験」を目指したという。すでに現地を訪れたり、映像で見たりしたことがある人なら、これを大袈裟でないと感じるだろう。
ミラー膜で覆われた立方体を積み重ねた形で空や周辺ブースを映して溶け込んでいる。4つのキューブの正面は丸く凹み、内側にディスプレイを内蔵。中央キューブは三角を描くように裁断。ミラー膜はロボットアーム、低音スピーカー、アクチュエーター、そして風や雨などの自然の力で絶えず動き続けている。(建築デザイン:NOIZ)
風景を変換するモニュメント建築
「null²」は、万博会場の中央に並ぶ8つのシグネチャーパビリオンのひとつで、パビリオンであると同時に「彫刻的モニュメント」の役割も果たしている。ほかの多くのパビリオンは抽選を経て入場予約をする必要があるが、外観を見るだけでも十分楽しめるのだ。さらに1日に3回(合計約1時間半)、予約なしでパビリオンの中に入り、通り抜けができるウォークスルー体験の時間帯を用意するなど施設として少しでも多くの人が楽しめるような工夫が凝らされている。