Global Creators Labs|AIを駆使したデジタルアートの先駆者
レフィーク・アナドール・スタジオAI & アーキテクチャー

新たな領域を切り拓くデザイナー、建築家、アーティスト、サイエンティストらが活躍する、その最前線を尋ねる本連載。1回目はAIを用いた革新的なデジタルインスタレーションで知られるレフィーク・アナドール。ギャラリーを飛び出し、建物の外壁がキャンバスとなるような大型インスタレーションで知られ、TEDのスピーチは100万回再生という注目度を誇る彼が見つめるAIとは。

大規模言語モデルから、大規模自然モデルへ

まずレフィーク・アナドールの作品を紹介しよう。2023年10月から金沢21世紀美術館の「DXP(デジタル・トランスフォーメーション・プラネット)—次のインターフェースへ」に参加していたが、これは人の脳のデータを記録し、独自のアルゴリズムでデジタルな彫刻へと昇華させた作品だった。また、今年2月から4月にはロンドンのサーペンタイン・ギャラリーで、「エコーズ・オブ・ジ・アース(地球のこだま)」と題した個展を開催した。ここで目に飛び込んできたのは、草木や花の映像だ。壁や天井を覆うそれらが次第に集まったかと思えば、いきなり飛び散り、熱帯雨林やサンゴの映像に切り替わるなど、まるで幻覚を見ているように空間は目まぐるしく変化した。そこではネット上の約50億ものサンゴの画像を生成AI「ステーブル・ディフュージョン」に学習させ、地球上に存在しないサンゴの画像も生成した。