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2025.03.25 10:00
グランプリ 「NEWRON」 川田敏之
2025年3月15日「コクヨデザインアワード2025」の最終審査が行われた。今年度は国内外から1,448点(国内716点、海外732点)の応募があり、二次審査とパテント調査を経て選出された9作品のなかから、川田敏之による作品「NEWRON」がグランプリに選ばれた。
今回で22回目を迎えたコクヨデザインアワード。今年度のテーマ「prototype」は、プロダクトデザインにおいて一般的に完成前の原型や試作品という意味で使われる言葉である。これを「次につながる可能性をもつ原型」と捉え、そのデザインが誰かにインスピレーションを与え、未来への起点となるようなプロダクトデザインを募集した。
審査発表と授賞式の後に行われたトークイベントでは、6名の審査員がテーマの「prototype」やファイナリストの作品について多彩な感想を述べた。田村菜穂(デザイナー)は「デザイン制作の一連の流れの中でプロトタイプは最もノイズが少なく、つくり手としては最もワクワクするフェーズ。応募作品からもポジティブなエネルギーが強く伝わってきました」とコメント。柳原照弘(デザイナー)は「『prototype』というテーマをどう解釈するかについて、審査会では例年にない議論が起こりました。ファイナリストの方々の作品はこのテーマに対して真摯に応えてくれていたと思います」と振り返る。ほかの審査員からも「今年の審査会では受賞作品の選定が難しかった」という声が上がった。
グランプリ作品の「NEWRON」は、グリップ部分にさまざまな形状の突起が施された「アイデアを生み出すためのペン」である。人間の指先には多くの神経が集中しており、指先を刺激することで脳の働きは活性化される。「かく」という作業と同時に、ペンを握った指先から脳の働きを刺激し、創作活動をサポートしてくれる。
優秀賞 「スピニング」 一條遥貴
優秀賞には3作品が選ばれた。一條遥貴の「スピニング」は、本についている栞紐(スピン)に着目。スピンに芯材を入れることで、ページを跨ぐ付箋や、次に読む人への贈り物、読んだときの心のかたちになる。また、本から独立した造作やまだ名前のないものなど、少しだけ自由な「何か」になる可能性をもたらしてくれる。
優秀賞 「KAKONET」 松村佳宙
松村佳宙による「KAKONET」は、鍵括弧の形をしたマグネットであり、私たちの内側にある想いや意識、記憶をより可視化し、強く印象づけるために生まれた。本や映画の「」で囲まれた言葉やセリフが私たちの感情を強く揺さぶるように、このマグネットで何かを留めるとき、忘れたくないことや意識していること、さまざまな想いを心の内側に刻むことができるだろう。
優秀賞 「秘密」 weiweichen(Gaowei Liu、Cheng Chen)
weiweichen(Gaowei Liu、Cheng Chen)が手がけたダイアリー「秘密」は、日記帳の横線を中心に寄せているのが大きな特徴だ。日記帳とは、「私たちの心に隠されている『秘密の言葉』だ」と作者は語る。そんな秘密の言葉が、まるで奥深くに隠れているかのように感じられるノートである。
矢印をモチーフに「未来へのベクトル」を抽象的に表現したトロフィー。
今年度のキービジュアル「矢印」をあしらった表彰状。
今年度のトロフィーは、テーマ「prototype」を念頭に、受賞作品が示す「未来へのベクトル」を抽象的に表現。キービジュアルにある複数の矢印を、試行錯誤を経てひとつの方向性へと昇華し、次の未来を力強く指し示す形状に仕立てた。さらに、表面に施された色泥漿(いろでいしょう)による複雑な模様は、アイデアの試行錯誤から生まれる創造の軌跡を表している。また、ファイナリストに授与された表彰状は、チップボールと呼ばれる板紙を使用して素材感を出すとともに、キービジュアルの矢印をあしらった。