意思決定のデザイン|共通の思いを育むリサーチ/
意思決定に不可欠な運命共同体としての探索手法

今、日本の行政や企業に必要なものとは何だろうか。未来のビジョンか? 揺るがない価値観か? —KESIKI代表の石川俊祐が、現代に求められる「意思決定のデザイン」を語る。

思いを共有できているか

今日は、よりよい意思決定を導くための質的(定性的)なリサーチについて話したいと思います。質的なリサーチで重要なのは、一見非効率にも見える「現場に行って感じてくる」ことです。しかしメソッドの抽象度が高く、決まった「型」がないことや、成果を数値化しにくいことが難しい点です。どうしたらその重要性をクライアントやチーム、ステークホルダーに受け入れてもらえるのか、僕らも悩ましいところです。実際にその街を歩いてみたり、街の人と話してみたりしないとわからないことがたくさんあるし、プロセスに参加することでしか感じられないものがある。一緒に作業をしてみて初めて「街の人たちはこういう気持ちなんだ」とわかる。この、頭ではなく身体的にわかるということがとても大事で、実はそうした「中間生成物」のような思いにこそ、最終的なアウトカム(アウトプットの結果としてもたらされる成果)につながる価値が潜んでいると考えています。