「円弧的関係」から生まれるコレクティブ
古着屋の枠を超えた京都・岡崎「arch.」

「arch.」の外観。

京都市左京区の岡崎エリアにて、古着屋「arch.」が2025年1月にリニューアルオープンした。古着屋でありながらも、若いクリエイターたちが集い、アートコレクティブとしてそれぞれの視点から空間を創造し、新たな価値を生み出す試みを展開する。

西頭が手がけた彫刻作品。

同店のクリエイティブディレクションは、京都を拠点に活動するクリエイティブディレクターの坂東拓海(POWER OF VIEW)が手がけた。「円弧的関係」をコンセプトに掲げ、さまざまなジャンルや人々をつなぐ架け橋=「arch.」となることを目指している。

このコンセプトは、建築家の房川修英(Brain Sauce Studio)による店舗設計にも反映されている。半地下のような1階は、訪れた人々が「arch.」の世界観に触れる場として、店舗のほか、展示やイベントが行える柔軟なスペースとした。ファサードは、あえてアパレルショップらしさを持たせず、見る者の解釈に委ねるデザインとなっている。

さらに、グラフィックデザイナーであり彫刻作家の西頭慶恭による厚さ1.5mmの巨大なステンレス板を用いた彫刻作品をフロアに展開。プラズマで切断した2つの円弧をずらして配置し、歪みと緊張感のある空間に。鋭利さと生々しさが残る切断面を生み出している。

これらの円弧のあいだにキュレーションされた商品を並べることで、空間に流れを作り、訪れた人の歩行速度や視線の動きを誘導するだけでなく、服を選ぶ行為そのものが彫刻作品の一部となる。時を重ねた古着というマテリアルも併せて、「arch.」にしかないサイトスペシフィックなインスタレーションとなっている。

1階

その一方で2階は、前店舗のコンセプト「友人の家のようなリラックスできる空間」を引き継ぎ、飲食カウンターとシェルフのみの造作として、成長する「家」のようにオーナーが自由に変化させる余白を残した。

2階

また、東京を拠点とするグラフィックデザイナーのおおつきしゅうとは、デザイナーやクリエイターのための表現ツールとして「arch. Cloud Font」を開発。京都から吹く新たな風をイメージし、流れる雲をモチーフにしたフォントファミリーであり、広がり続ける「arch.」の姿勢を象徴している。End

「arch. Cloud Font」

arch.

住所
京都府京都市左京区岡崎徳成町12-4
営業時間
12:00~20:00
定休日
水曜日
詳細
https://www.instagram.com/arch_bldg