東京・六本木の21_21 DESIGN SIGHTギャラリー3では、20世紀イタリアのモダニズムを代表する建築家 ジオ・ポンティ（1891-1979）にフォーカスした展覧会「ジオ・ポンティの眼：軽やかに越境せよ。」が2025年3⽉19⽇（⽔）から３月31⽇（⽉）まで開催される。

1960年にミラノに竣工した「ピレリ高層ビル」
©Gio Ponti Archives – Archivio Storico Eredi Gio Ponti

アームチェア「D.154.2」(1953-57 Molteni&C Heritage Collection)
Photo by Frederik Vercruysse

1本のスプーンから、薄さや軽やかさを追求した超軽量の椅⼦「スーパーレジェーラ」（1957）、さらには「ピレリ⾼層ビル」（1960年竣⼯）まで、多彩なスケールのデザインを手がけてきたポンティ。近年には名作家具やプロダクトの数々が復刻され、人々を魅了しつづけている。

本展では、ウィーン分離派、イタリア合理主義、モダニズムなど特定の時代の「イズム」に属さず、また建築やプロダクト、グラフィックといった細分化された分野にも留まらず、部分から全体を統合的に捉えるポンティの「眼」に着目。

アームチェア「D.153.1」（1953 / 2012, Molteni&C Heritage Collection）

コーヒーテーブル「D.555.1」（1954–55/2012, Molteni&C Heritage Collection)

ジオ・ポンティ・アーカイヴスの協⼒のもと、ポンティがミラノ・デッツァ通りの⾃宅のためにデザインした家具や、モルテーニにより復刻されたアームチェア、コーヒーテーブル、ブックシェルフ、さらには床に⼤胆に導⼊されたセラミックタイルの再現など、ポンティの「眼」で見た独⾃の空間世界を紹介する。

1927年にリチャード‧ジノリで制作された磁器作品「天使像」
愛知県陶磁美術館蔵

また、およそ60年にわたる巨匠の仕事を振り返る大型パネルには、1920年代のジノリの磁器製品やオリジナルドローイングの展⽰のほか、フランチェスカ・モルテーニ監督によるドキュメンタリー映像「Amare Gio Ponti」を展示する。

ジオ・ポンティの眼を通して世界を見ると、⼤量⽣産に対するアートと⼯芸、ミニマリズムに対する装飾といった、世の中にある⼆元論を軽やかに超えて、新たな住まいの⾵景が開かれていく。現代においてもなお新鮮な魅⼒を放つ同氏のデザインを楽しみたい。