NEWS | アート / 展覧会
2025.02.27 10:40
左:《「ダダ・ヘッド」とゾフィー・トイバー》、1920年、アルプ財団、ベルリン/ローラントシュヴェルト 撮影:ニック・アルフ 右:《「臍=単眼鏡」とジャン・アルプ》、1926年頃、アルプ財団、ベルリン/ローラントシュヴェルト ⓒ VG BILD-KUNST, Bonn & JASPAR, Tokyo, 2024 C4762
東京・京橋にあるアーティゾン美術館では、20世紀前半を代表するアーティストカップルに焦点を当てた展覧会「ゾフィー・トイバー=アルプとジャン・アルプ」が2025年3月1日(土)から6月1日(日)まで開催される。
ジャン・アルプ(ゾフィー・トイバー=アルプの作品に基づく)《無題(頭部)》、1950年代、アルプ財団、ベルリン/ローラントシュヴェルト ⓒ VG BILD-KUNST, Bonn & JASPAR, Tokyo, 2024 C4772
ゾフィー・トイバー=アルプ《モジュール式家具(グレーの棚)》、1929年頃、アルプ財団、クラマール
19世紀後半以降は女性のアーティストが増えたことから、さまざまなアーティストカップルが誕生した。1922年に夫婦となったゾフィー・トイバー=アルプ(1889‒1943)とジャン・アルプ(1886‒1966)もそのうちの一組である。
スイス・ダヴォス生まれのトイバー=アルプは、テキスタイルデザイナーとして活動する傍ら、色彩理論と幾何学的抽象の研究をもとに空間装飾や絵画を手がけるなど、幅広いジャンルの創作活動を展開した。
ゾフィー・トイバー=アルプ《抽象的なモティーフによる構成(手帳カバー)》、1917-18年頃、アールガウ州立美術館、アーラウ(個人より寄託)
ゾフィー・トイバー=アルプ《オーベット 200(ストラスブールのオーベットのバーの天井デザイン》、1927年、アルプ財団、ベルリン/ローラントシュヴェルト
ゾフィー・トイバー=アルプ《漸次的な移行》、1934年、アルプ財団、ベルリン/ローラントシュヴェルト
一方、アルプはドイツ・シュトラスブルク(現在のフランス・ストラスブール)に生まれ、ドイツ国内やパリで美術を学び、「青騎士」やダダイスムの活動に参加。1920年代以降は、シュルレアリスムと抽象のあいだを往来しながら、コラージュやレリーフ、彫刻の領域で創作を行った。
ジャン・アルプ《7 アルパーデン:アルプ・アルバム(『メルツ』第5号)Ⅰ口髭=帽子》、1923年、アルプ財団、ベルリン/ローラントシュヴェルトⓒ VG BILDKUNST, Bonn & JASPAR, Tokyo, 2024 C4772
ジャン・アルプ《ダフネ》、1955年、アルプ財団、ベルリン/ローラントシュヴェルト
ジャン・アルプ《貝殻=帽子》、1965年、アルプ美術館バーンホフ・ローランズエック Photo:Mick Vincenz
同展では、ドイツ・フランスのアルプ財団をはじめとする海外コレクションより、トイバー=アルプの作品45点、アルプの作品36点、さらには両者のコラボレーション作品7点の計88点を展示。個々の創作活動のみならず、両者が各々の制作に及ぼした影響やデュオでの協働制作の試みに着目し、カップルというパートナーシップからどのような創作の可能性が生まれるのかを再考する。
人形劇「鹿の王」のための人形の前のゾフィー・トイバーとジャン・アルプ、1918年、チューリヒ
また、同展は、アルプに比べて日本ではあまり知られていないトイバー=アルプの創作活動を包括的に紹介する貴重な機会を提供する。当時の女性のアーティストの立場や、芸術ジャンルのヒエラルキーに関する考え方など、20世紀の美術を知る上でも歴史的な意義をもつ展覧会となるだろう。
展覧会「ゾフィー・トイバー=アルプとジャン・アルプ」
- 会期
- 2025年3月1日(土)~6月1日(日)
- 開館時間
- 10:00~18:00(毎週金曜日は20:00まで)
※入館は閉館の30分前まで。 - 休館日
- 月曜日(5月5日は開館)、5月7日
- 会場
- アーティゾン美術館 6階展示室
(東京都中央区京橋1-7-2) - 詳細
- https://www.artizon.museum/exhibition_sp/sophieandjean/