アップサイクルの美を追求する
HONOKAの挑戦

2024年10月、DESIGNART TOKYO 2024で発表された「Trace of Water – 水の痕跡 – 」は、ウォーターボトルの製造や販売、宅配事業を展開するアクアクララとデザインラボ「HONOKA」の共創プロジェクト。持続可能な社会の実現に向けて、ボトルのアップサイクル(創造的再利用)の可能性を探ったもので、水をテーマに考えたその新しい役割や価値について聞いた。

役割を終えたリターナルボトルを切り出し、その破片を重ねて熱溶着したもの。ポリカーボネートの特性から、吸湿した水の痕跡を見ることができる。透明な部分と、気泡を多く含む白く不透明な部分が混在して、素材に表情が生まれる。

身近な住環境のなかで使うものを

2000年代にスタートしたアクアクララのサービスは、現在、北海道から沖縄まで日本全国の約48万世帯で利用されている。同社では、環境負荷の低減に向けて、洗浄して繰り返し利用できるポリカーボネート製リターナルボトルをウォーターボトルに使用。透明性、耐衝撃性、耐熱性、耐候性、吸湿性、寸法安定性といった多様な機能をもち、水の美味しさを想起させるブルーの色彩も魅力のひとつとなっている。30年までに役割を終えたボトルの再資源化100%を目指して環境問題に取り組むなかで、アップサイクルの可能性を探る初の試みとして、HONOKAに共同プロジェクトへの参加をもちかけた。20代から30代のデザイナー6名からなるHONOKAは、23年に「TATAMI ReFAB PROJECT」と題して、畳の魅力を未来へ継承するための家具を制作し、高い評価を受けてイタリアのサローネサテリテ・アワードでグランプリを受賞した実績がある。「Trace of Water – 水の痕跡 –」は彼らにとっても、今春に法人化して新たな気持ちでのぞんだプロジェクトとなった。