中国のブックデザイン界のパイオニア
呂 敬人の作品を紹介する展覧会が開催

『中国記憶—五千年文明瑰宝』2008年 © Lu Jingren

中国の豊かな出版文化の歴史をたどりながら、新たなブックデザインの道を切り開いたブックデザイナーおよびイラストレーターの呂 敬人(リュ・ジンレン)を特集する展覧会「書藝問道 ブックデザイナー呂敬人の軌跡」が、3月27日(木)まで東京のギンザ・グラフィック・ギャラリーにて開催中だ。

『忘憂清楽集』2001年 © Lu Jingren

1947年上海生まれの呂は、1978年に中国青年出版社に入社。1998年に敬人設計工作室を設立し、数々のブックデザイン賞を受賞するとともに、2002年より北京・清華大学美術学院視覚伝達デザイン学科で教育活動にも携わる。現在は上海美術学院の客員教授や「ブックデザイン」叢書編集長を務めるなど、多岐にわたる活動を続けている。

1989年と1993年には来日し、グラフィックデザイナーの杉浦康平に師事。当時の中国ではブックデザイナーという職種がまだ確立されていなかったが、杉浦デザイン事務所で学ぶなか、本の内容から全体を構築する「ブックデザイン(書籍設計)」に興味をもち、自国の豊かな伝統文化をベースとする独自の方法論を打ち立てた。

『敬人書籍設計2号』2002年 © Lu Jingren

『蔵区民間所蔵蔵文珍稀文献叢刊(精華本)』2015年 © Lu Jingren

今回の展覧会では、宋代の拓本を原寸大復刻した「朱熹榜書千字文」をはじめ、全長10mの巻物10巻を納めた「絵図五百羅漢詳解」、解説を読みながら実際に囲碁が打てる「忘憂清楽集」など、全8点目の豪華本を紹介する。

さらに、京劇やお茶、篆刻など、中国の豊かな芸術文化や生活にまつわる多彩な書物全27点を呂の丁寧な解説とともに披露するほか、実際に手に取ることができる作品集や自著なども展示。開幕日の2月12日には、呂を迎えたギャラリートークも行われる。

『朱熹榜書千字文』 1999年 © Lu Jingren

現代中国の多様な造本文化の礎を築いた呂 敬人の書藝を日本で初めて大規模に紹介する同展では、「中国芸術の核心に迫る精緻なブックデザイン」の世界を堪能できるだろう。

ギンザ・グラフィック・ギャラリー 第406回企画展
書藝問道 ブックデザイナー呂敬人の軌跡

会期
2025年2月12日(水)~3月27日(木)
開館時間
11:00~19:00
休館日
日曜・祝日
入場料
無料
会場
ギンザ・グラフィック・ギャラリー
(東京都中央区銀座7-7-2 DNP銀座ビル1F/B1F)
詳細
https://www.dnpfcp.jp/CGI/gallery/schedule/detail.cgi?l=1&t=1&seq=00000840

ギャラリートーク

日時
2025年2月12日(水) 15:00~17:00
出演
呂 敬人+佐藤篤司+室賀清徳
入場料
無料・要予約
定員
70名
参加方法
2025年2月1日(土)11:00より下記のURLから申し込みが必要。
会場
DNP銀座ビル3F
詳細
https://dnpfcp.jp/CGI/gallery/event/form.cgi?eventid=255