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9時間前
染織家、随筆家として知られる志村ふくみは、88歳を迎えた2013年、娘の洋子、孫の昌司とともに、開かれた芸術教育の場を目指して「アルスシムラ」を開設した。ここは技術だけを学ぶ学校ではない。自然と人間のつながり、手仕事の美しさ、それら思想や哲学に触れる場である。3人の言葉から持続可能性の先にあるものづくりを探る。
自然の存続の危機
志村ふくみの原点は、柳 宗悦の「民藝」の思想に拠る。昭和のはじめ、ふくみの両親は滋賀県近江八幡で、宗悦はじめ多くの民藝作家たちと交流し新たな美の理念に影響を受けた。やがて1927年、京都・上賀茂で民藝の思想をもとに上加茂民藝協団が立ち上がる。その前年、ふくみの両親は「昭和学園」という滋賀県初の私立小学校の設立にも尽力していた。創造性や自主性を重んじる、芸術教育を中心としたフリースクールのような学校だったという。だが、協団も学園も人間関係や経済的な理由から存続は難しかった。