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21時間前
気候変動や都市化といった現代社会が抱えるさまざまな課題に対し、持続可能性のあるプランを発表し続けている建築設計事務所、WOHA(ウォーハ)。彼らは高層ビルの立面緑化や、自然と共生する都市を描くことで知られるが、今目指すのは人間のコントロールを超えた「生きたシステム」として、社会、経済、環境とつながる建築だ。WOHAのふたりにシンガポールで話を聞いた。
小さな努力ではなく、社会に恩恵を与えるような建築
1965年建国という若いアジアの小国ながら、世界に対して圧倒的な存在感を示すシンガポール。立ち並ぶ高層ビル群の中に人口が密集する街並みはまさにこの国の成長の表れそのものだが、列強の大都市と大きく異なるのは、街中に広がる緑のボリュームだ。至る所に公園や広場が点在し、主要な建物や道路は伸びやかな木々に囲まれており、まるで大きな森の中に都市が形成されている印象さえ受ける。
「居住スペースや仕事場から10分以内で緑と触れ合えるというのが、シンガポールで都市計画を想定するうえでの最優先事項です。『自然の中にある都市』を目指すと現政府が謳っているように、部分的、表面的な緑化計画でごまかすのではなく、私たちは都市の中に自然を呼び戻すことを本気で考えているんです」。
そう話すのはシンガポールを代表する建築設計事務所WOHA(ウォーハ)のディレクター、ダレン・チェンだ。