素材から描く未来のファッションエコシステムとは

スパイバーでは遺伝子合成やタンパク質合成工程の全自動ロボットも開発しており、研究開発に役立てている。

人工タンパク質が衣服の素材になるというのは、ひと昔前では完全な夢物語であった。しかし山形県のベンチャー企業であるスパイバー社が開発したブリュード・プロテイン™ファイバーは、まさに「夢の繊維」として、ここ数年世界から注目を集めている。今年も各ブランドが次々と採用する本素材は、ファッション産業の構造そのものを変革する可能性を秘めている。鶴岡市の本社を訪ねた。

微生物発酵と遺伝子設計が生み出す 人工タンパク質

そもそもブリュード・プロテイン(Brewed Protein)ファイバーとは、どのような素材なのか。スパイバーのホームページには「植物由来の原料を元に微生物発酵プロセスを通して製造される繊維やフィルム、樹脂などの素材」と書かれている。微生物の発酵(ブリューイング)過程で生み出されるタンパク質から糸をつくるということだが、具体的にはどのようにつくられているのだろうか。