家電ブランド Miele × 交流ハブ nadoya
未来を考える場「FIRST PLACE」をオープン

Photo by Taro Ota

ドイツの家電ブランド Miele(ミーレ)は、都内の古い一軒家に手を加えオルタナティブスペースとして運営する nadoya(などや)と共同で、キッチンを囲んで人が集い、ともに未来を考えるプロジェクト「FIRST PLACE(ファースト プレイス)」を立ち上げた。

Photo by Saiko Kodaka

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建築家の岡村俊輔とテクニカルディレクターの遠藤 豊が共同代表を務める「nadoya yoyogiuehara」は、庭木のある築60年を超える民家に手を加え、ギャラリーやキッチン、カフェスペースのある文化的交流ハブとして機能させた場だ。庭木をはじめとする自然と家との関係を見直したり、瓦や木材など本来の役目を終えた素材を再構築したり、2020年のプロジェクト開始以来、建物は完成することなく、変化を続けている。

一方の創業125周年を迎えたミーレは、「常により良いものを(Immer Besser)」を理念に掲げる誰もが知る家電ブランドだ。あまり接点がなさそうに見える両者がなぜともにプロジェクトを立ち上げたのか。それはどちらも食やキッチンを場の中心に据え、暮らしや建築を出発点に、時間をかけて未来を探っていく姿勢にあるという。

Photo by Taro Ota

ミーレのIHやオーブン、洗濯機などの製品が空間に溶け込むように配置・収納されている。Photo by Taro Ota

昨年10月末に始動した「FIRST PLACE」には、ミーレのオーブン、スチームオーブン、クッキングヒーター、食洗機、冷蔵庫、洗濯機といった家電がnadoya yoyogiueharaにビルトインで設置された。今回、キッチンカウンターをつくるために用いた素材は、建物の一部の床をめくって出てきた建築基礎のコンクリートを再構築したものだ。増改築を繰り返してきた古い家屋を丁寧に分解して、ビルトイン家電と調和させるのは、岡村の得意とするところだが、実際にその空間を見ると、まるで当初からしつらえられていたかのように馴染んでいるから不思議だ。

Photo by Saiko Kodaka

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また、プロジェクトのゲストデザイナーに狩野佑真が参加。「料理をするようにマテリアルをつくる」をコンセプトに、役目を終えたミーレの機器やnadoyaの改修の際に出た廃材、土や石を混ぜ合わせて、オリジナルのマテリアルを制作した。これらはキッチンカウンターや床材などにあしらわれ、空間に彩りを添えている。

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狩野佑真が制作したマテリアルは床材やキッチンカウンターの立面などに使用された。Photo by Saiko Kodaka

さらに、建築家や陶芸家、農業や土に関わる活動家、料理家など多様なゲストがトークをしたり、ともに食を楽しむ機会が設けられた。ミーレとnadoyaに共通する「できるだけ無駄を省いて、良い素材をできるだけ長く使う」という理念を実践しつつ、未来を探る本プロジェクト。今後のイベントは随時nadoya yoyogiueharaのインスタグラムで発表されるとのこと。次なる展開を心待ちにしたい。End

「FIRST PLACE」のオープニングでは、岡村俊輔を中心に、陶作家の安藤雅信、料理人の野村友里、デザイナーの狩野佑真。12月には、建築家の工藤桃子や田根 剛をゲストに迎えてミーレが大切にしている“食”を囲み、カジュアルに交流しながら対話が生まれる場が提供された。Photo by Taro Ota

左から安藤雅信、岡村俊輔、野村友里。Photo by Taro Ota

岡村俊輔(左)と狩野佑真。Photo by Taro Ota

田根 剛(左)と岡村俊輔。Photo by Taro Ota

FIRST PLACE

場所
nadoya yoyogiuehara(東京都渋谷区西原3-19-3)
詳細
https://firstplace.nadoya.jp/