デザイナーとアルゴリズムの協業
「一枚の布」から服づくりのプロセスを最適化する

一本の糸から一枚の布、一着の衣服へ。身に纏うことで身体と環境の間にある第二の皮膚となり、空間を彩る環境そのものにもなり得るプロダクト、衣服。「A Piece of Cloth(一枚の布)」から名づけられ、素材の基礎研究から生産に至るまで、異分野・異業種との協業によって服づくりの新しい仕組みを模索してきた「A-POC ABLE ISSEY MIYAKE(エイポック エイブル イッセイ ミヤケ)」がスペキュラティヴ・デザインラボラトリーSynflux(シンフラックス)と協業。アルゴリズムと人間の協働から見えた衣服づくりの未来とは。

「一枚の布」にプロセスを織り込む

1998年、三宅一生により発表された一体成型の衣服。その名も「A Piece of Cloth(一枚の布)」から名づけられたブランド「A-POC」の取り組みは、それまでの衣服づくりの方法論に一石を投じると同時に、技術とデザインの融合の先に立ち現れる一着の衣服が一枚の布、ひいては素材そのものに対峙することから始まるということを提示した。そして2021年以降、A-POCの思想を受け継いだ「A-POC ABLE ISSEY MIYAKE(以下、A-POC ABLE)」は素材の研究開発から生産過程に至るまで、服づくりのプロセスの革新に挑んできた。その活動の促進力となっているのが、宮前義之率いるデザインエンジニアチームによる異分野・異業種との協業だ。