すでに広く知られているように、アップルはiPod付属の「EarPods」イヤフォンを白色にすることで、それまで黒色が主流だった当時のオーディオ製品との差別化を図り、街中で一目でそれとわかるアイコンとなった。また、最近のワイヤレスタイプの「AirPods」でも、アンテナやバッテリー部を突出させた独特の形状を採用。一時は「耳からうどん」などと揶揄されもしたが、今では誰も気にすることなくポピュラーな存在となり、やはりそのデザイン上のディテールがアイコニックなシンボルを獲得した。
これまで、両者に匹敵するアイキャッチとなり得るようなデザインのイヤフォン/ヘッドフォン製品は、なかなか他社から登場してくることがなかった。
しかし、NTTソノリティのオープンイヤー型ワイヤレスヘッドフォン「nwm ONE(ヌーム・ワン)」のデザインは、この製品が持つオーディオ機器としての特性を視覚化したことで、十分にその資格を持つものとなっている。
nwm ONEは、ヘッドフォンでは定番のイヤーパッドで耳をカバーする形状ではなく、シンボリックな円形のフレームのみがスピーカーユニットを宙に浮かせるように設けられた独特のフォルムを持つ。この形状は、周囲の音を遮らずに音楽を楽しむ「ながら聴き」に特化しているが、NTT独自の「PSZ(パーソナライズドサウンドゾーン)」と呼ばれる技術によって、聴いている音楽の音漏れは最小限に抑えられている。
PSZ技術は、音の位相反転を利用したノイズキャンセルと似ているが、ノイズキャンセルが外部からの音に対して逆相の音を適用して雑音を打ち消すのに対して、再生中の音楽の逆相の音をスピーカードライバーの背面から外部に放出するというもの。これによって、周囲に拡散しようとする音が打ち消され、結果として音漏れが抑えられるのである。
ヘッドフォン本来の性能も、12mmのツイータードライバーと35mmのウーハードライバーをそれぞれ独立したアンプで駆動し、通話マイクはNTTコンピュータ&データサイエンス研究所の開発による「Magic Focus Voice」技術によって周囲の雑音は拾わずに話者の声だけを抽出することでクリアな音質を実現するなど、隙のない仕様になっている。その機能性をこの外装デザインで包んだことが、nwm ONEの何よりの魅力といっていいだろう。