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2024.12.06 12:00
東京都渋谷区は、笹塚から代々木までの約2.6kmの区間に広がる「玉川上水旧水路緑道」の再整備計画を進めている。地域の憩いの場として親しまれてきたが、緑道の整備から約40年が経ち、老朽化が進んでいるため、このほどリニューアルを行うことになった。
区は再整備のコンセプトとして、「FARM(育てる・育む)」を掲げる。そのうえで、「歩きやすくデザイン性のある園路」「地域のさまざまな活動ができる広場」「自然環境と一体となった、より充実した遊び場」「散策しながら休憩や会話を楽しめるベンチ」「夜間も安心して利用できる、高さを工夫した照明」「バリアフリーなどに配慮した、誰もが安全に使えるトイレ」「緑豊かな植栽、地域の皆さまと一緒に利用できる農園」といった具体案を示している。
ランドスケープデザインを手がけるのは、建築家の田根 剛(Atelier Tsuyoshi Tane Architects)。江戸時代に完成した玉川上水の歴史や文化を受け継ぐ緑道が、これからの未来のために世代を超えて親しみのある場所となることを目指している。既存の樹木は可能な限り保全しつつ新たな苗木も植え、周辺地域の景観に配慮しながら多種多様な植物を育てることで、次世代のための森をつくる計画だ。
舗装材には石材やレンガなどのリサイクル材を活用したテラゾを採用し、耐久性を高めるとともに、車いすやベビーカーが通行しやすい平坦性を確保。カラーは豊かな緑に対してコントラストをなす補色とし、緑道内で雨水をゆっくりと浸透させる水はけのよさを実現する。
また、緑道では再整備に先駆けて、公募で選ばれた78名(初台38名と西原40名)が土づくりや野菜の栽培を行う取り組み「仮設FARM」が現在展開中である。再整備後は、地域のあらゆる人が参加し、農園の設置・管理・利用を通じて自然と触れ合う機会を提供する。