育林職人が手がけるプロジェクト「UERUT」
森の材でつくった木工プロダクトを展開

東京を拠点とする植林・育林ベンチャー GREEN FORESTERS(グリーンフォレスターズ)は、100年続く森づくりを行うためのクラウドファンディングを2024年12月1日(日)に開始した。

夏場の下刈り風景

春の植林風景

同社は、働き方改革やテクノロジー活用によって植林・育林の人材不足の解消を図りながら、広葉樹の混植や、種子から発芽したばかりの実生を活用した天然更新(自然の力を利用して森林の再生すること)を行うなど、「自然資本・生物多様性に配慮した森づくり」を進めるベンチャー企業である。

2023年7月には新潟県村上市に進出し、新たに植林・育林事業を開始したが、豪雪地域ゆえに冬場に植林・育林の仕事がないという課題を抱えている。そこで森づくりプロジェクト「UERUT(ウエルト)」では、本業の植林を活かせるような「森づくり職人たちの冬仕事」の確立を目標としている。

「TANKORO STOOL」(大)

具体的には、植林をする伐採跡地では以前から、太すぎたり細すぎたり、曲がっていたりして使用できない木材がたくさん残されており、これらを春~秋のあいだに現場で収集し、乾燥させて、冬場に木工品を制作・販売する。

「TANKORO STOOL」(小)
チェンソーで木を伐採したときに、きり株に残る根本部分を「タンコロ」と呼ぶ。タンコロは曲がっていて製材に使えないため、山にそのまま放置されて転がっている。山仕事をするときに職人たちが腰掛けとして使う様子からインスピレーションを得て、形をそのままにデザインしてスツールとした。

「FOREST LOG」
森の現場で見かける木の皮や木の大きさをそのまま活かして作った掲示板で、森のレポートを5年間(計8回)送付。管理している森の四季や生物の様子が伝わる写真を自宅に届けてくれる。

「FOREST FRIENDS -Akashobin-」
アカショウビンは、植林現場の周辺に来る日本在来種の鳥。食べ物として小魚やカエルを捕食する一方で、巣作りや生活の多くを森林内で行うため、川や湿地と森林の「つなぎ役」を果たしてくれる。

「FOREST FRIENDS -Yotaka-」
ヨタカは、伐採跡地などの藪の中に巣をつくる草原が好きな鳥であり、春夏に日本で産卵し、育てて秋に東南アジアに飛んでいく。これからも産卵や子育てをたくさんしてもらえるようにとデザインした。

オリジナルプロダクトのデザインは、デザイナーの西尾健史が担当。自然木の形を活かした一点物の椅子「TANKORO STOOL」(大・小)、森の四季を伝える写真が5年間・計8回届く掲示板「FOREST LOG」、森の生物をモチーフにした木製プロダクト「FOREST FRIENDS」(アカショウビンとヨタカの2種)を用意した。いずれも「森の生感」を残しており、都会にいても森を感じられるデザインに仕上げている。End