EVバンに新機軸のアイデアを投入してオートキャンプ用のオフロードビークルに仕立てたら、どのような車両ができあがるのか? その答えが、キア・デザインセンター・アメリカが開発した「PV5 WKNDR EVキャンパーバンコンセプト」である。
多角形モチーフを散りばめながら室内ボリュームの最大化を狙ったアースカラーの外観は、ポップアップしてベッドスペースとなる屋根やフロントの電動ウィンチ、ブロックパターンのタイヤなど、キャンパーバンやオフロードカーでは見慣れた装備も持つ。しかし、それだけでなく、屋根はほぼ全面がソーラーパネルで覆われ、ホイールは、浅い川や風の強い丘の上などに駐車した際に発電機として機能するハイドロタービン機構を内蔵している。つまり、オフグリッドの環境でもキャンピングで使う電力を再生可能エネルギーで賄い、モーター駆動用バッテリーの消費を最小限に抑えられるのだ。
また、ボディの中央部には、側面からスライドアウトする「ギア・ヘッド」と呼ばれるストレージスペースが隠されている。アウトドアギアや調理用具をそこに収納しておくことで、キャンプ地では室内空間を無駄なく利用できるとともに、車外からツールやクックウェアへのアクセスが容易になるメリットを生み出した。
このほか、ステアリングホイールを上方に跳ね上げてドライバーがつくろげるスペースをつくり出せたり、モジュラー化されたインテリアユニットによってさまざまな車内レイアウトを可能にしたり、搭載されたエアコンプレッサーで地形に応じたタイヤの空気圧調整やエアマットレスの充填ができるなど、その多機能性は、まさにオートキャンプにおけるスイスアーミーナイフを目指したメーカーの意図を反映したものとなっている。