デザインで語る|中村 寛
国境のデザインとともに考える 1

デザインを専門とする、あるいはデザイン周辺にいる人々が、自らのデザイン観とともに、世の中のさまざまな事象を語り、考える。

Photo by Hiroshi Nakamura

1. はじめにーーいくつかの観察から

デザイン分野に深く関与するようになって、4年ほどが経過する。もともとはニューヨークのハーレムで人類学的なフィールドワークを行い、暴力や社会的痛苦、そこに生じる文化表現を研究していた。けれども幾人かのデザイナーと話すなかで、彼らとともに社会問題の解決を図れるのではないかと思うようになった。それがデザイン人類学の実践に踏み出していくきっかけだった。