はじまりのはじまり|三澤 遥
#2 おやすみ矢印

Photo by Go Itami

はたらき矢印。はりきり矢印。ふんばり矢印。矢印には元来、方向を指し示す機能があり、上下左右へと私たちを誘導する。進めと命令してくる強い記号とも言える。だけど、いつも張り詰めていては疲れてしまう。たまには休むのもよいかもしれない。

矢印をつくる。素材には、針金、ゴム糸、テープ、インレタ(擦って貼る転写シート)の4種類を使用する。その4素材から2種類以上を組み合わせて矢印にする。「針金+ゴム糸」「インレタ+テープ」「針金+ゴム糸+インレタ+テープ」のようにくっつける。たとえるなら、上半身が人で下半身が馬の胴体と四肢を持つケンタウロスのような矢印。さらに制作条件として、色は艶消しの黒と白、幅・直径は0.5mmと定めた。そのルールに則ると、材料同士のつなぎ目が馴染んで視覚的に同一化する。