リアルなアーカイブから辿る:
チャールズ&レイ・イームズの創造の軌跡

保管庫の中を案内するリサ・ディミトリウス。イームズオフィスでも、高い棚を利用して、数々のモノが保管されていたという。©️Nicholas Calcott

2024年2月、「ジ・イームズ・インスティテュート・オブ・インフィニット・キュリオシティー」がサンフランシスコ郊外に保管・展示空間をオープンした。ここでは、コロナ禍を経て現在、チャールズ&レイ・イームズオフィスのアーカイブを中心に約4万点に及ぶ膨大なコレクションを見学できるパブリックツアーも開催している。イームズ・インスティテュートのチーフキュレーターであり、チャールズ・イームズの孫娘でもあるリサ・ディミトリウスに話を聞いた。

モノがデザインプロセスを語る

「ジ・イームズ・インスティテュート・オブ・インフィニット・キュリオシティー」(無限の好奇心のためのイームズ研究所)の内部をひと言で説明するのは難しい。そこで目にするのは、テーブルの脚などのパーツ、形と素材が微妙に異なる椅子の数々、実験的な素材、紙の人型、絵画、スケッチ、手紙、おもちゃなど実に雑多なモノだ。

これらは、ミッドセンチュリーの代表的デザイナー、チャールズ&レイ・イームズのオフィスに残されたものだが、ここから伝わってくるのは、ミッドセンチュリーというスタイルではなく、その背後にどれだけのアイデアと手作業が試されたのかという事実だ。コンピュータで計算もデザインも簡単にできるようになった今、こうしたモノは深い挑戦を仕かけてくるかのようにも感じられる。