プロダクトを中心として、アート制作まで幅広く活動するクリエイティブデイレクター・デザイナー 辰野しずかによる展示「a moment in time -book-」が、東京・目黒の古書店「BOOK AND SONS」にて2024年10月13日（日）まで開催中。同氏が手がける草木染めの飴の作品と、これらを記録した書籍を展示する。

飴作品である「a moment in time -ume –」は、砂糖と水を煮詰め、梅の木から抽出した色で染めたもの。環境に左右されることが多く、形や色の変化や表情の違いも見られる。また、同じ品種でも梅の木が育った場所や季節、個性によって違いがあることから、その色彩は抽出するまで予測がつかない。

辰野がこの作品を手がけたのは2021年。世界的なパンデミックが起こり、生と死に向き合いながら暮らすなかで生まれた。この飴がもつ「コントロールすることができないうつろい」は、同じ事象にとどまりつづけることのない私たちの日常と共通しており、「その瞬間を感じられる体験だ」という。

そして、「その瞬間」を捉えた作品を記録として残すため、辰野は2022年に書籍「a moment in time -ume -」を出版。今回のイベントでは、BOOK AND SONSの1階で本と写真を販売し、2階で草木染めの飴作品と写真を展示する。

10月5日（土）には辰野しずか、筏 久美子（いかだ・くみこ、ギャラリーディレクター／TOTOギャラリー・間代表）、林 琢真（アートディレクター）によるトークイベントを開催。作品が生まれた背景や書籍の誕生秘話が語られる。