清春芸術村「こどものための建築プロジェクト」
VUILD 秋吉浩気が手がける、滑り台 「ホワイト・ループ」

Photos by Hayato Kurobe

山梨県北杜市にある文化拠点「清春芸術村」では、「こどものための建築プロジェクト」第2弾として、3Dプリンタで制作された子ども向けの滑り台「ホワイト・ループ(White Loop)」が誕生。設計を手がけたのは、建築家でテック系建築スタートアップ「VUILD(ヴィルド)」を主宰する秋吉浩気だ。

清春芸術村は、1980年に清春小学校の跡地を再活用した芸術文化施設。建築家 谷口吉生の設計による「清春白樺美術館」(1983年開館)や「ルオー礼拝堂」(1986年開堂)をはじめ、藤森照信の茶室「徹」(2006年完成)、安藤忠雄の「光の美術館」(2011年開館)、新素材研究所/杉本博司+榊田倫之のゲストハウス「和心」(2018年竣工)など、名立たる建築家の作品が並んでいる。

今回は、「子供がまず最初に触れる“建築”をつくる。」をコンセプトに、今まで清春芸術村が力を入れてきた「アート」「建築」に「遊び」の要素を追加。AI時代を生きる子どもたちが遊びや建築、アートを通じて感性を磨くことをねらった。

高さは2mと、3~5歳児向けで、「滑る」だけでなく、逆走して「登ってくる」子どものことも念頭に入れ、滑り台と階段の形を同一にした「メビウスの輪」のような形状に仕上げた。柱などはなく、滑り台それ自体が構造体として自立している。 

制作にあたって秋吉は、「白い洞窟のような空間に『潜り』、滑り台型の階段を慎重に『登り』、風景を見渡しながら『座り』、晴れやかな気分で『滑り』、また期待を膨らましながら『走る』。この一連の経験こそが原初的な建築体験であり、この小さな建築で遊ぶことを通じて建築への興味が芽生えることを願っている」とのコメントを寄せている。End

秋吉浩気(VUILD)

清春芸術村

住所
山梨県北杜市長坂町中丸2072
時間
10:00~17:00(入館は4時30分まで)
休館
年末年始、月曜日(祝日の場合は翌平日休み)
詳細
https://www.kiyoharu-art.com/