服を着ることの意味を考える展覧会
「LOVEファッション―私を着がえるとき」開催

Comme des Garçons(川久保玲)トップ、パンツ 2020 年春夏 © 京都服飾文化研究財団、撮影:来田 猛

京都市左京区の京都国立近代美術館は、公益財団法人 京都服飾文化研究財団(KCI)と共催で、展覧会「LOVEファッション―私を着がえるとき」を2024年9月13日(金)から11月24日(日)まで開催する。

ドレス(ローブ・ア・ラ・フランセーズ)(部分) フランス 1775 年(テキスタイル 1760 年代) ©京都服飾文化研究財団、撮影:畠山 崇

コルセット 1870 年頃 アメリカ? © 京都服飾文化研究財団、撮影:畠山 崇

服を着ることは、人間の普遍的な営みのひとつである。そして、その装いからは、「あの人のようになりたい」「ありのままでいたい」「我を忘れたい」といった、私たちの内なる欲望、憧れや熱狂、葛藤や矛盾が表れることもある。

そこで、同展では、KCIが所蔵する18世紀から現代までの衣装コレクションを中心に、人間の根源的な欲望を照射するアートとともに、ファッションとの関わりにみられるさまざまな「LOVE」のかたちについて考える。美しい花柄が広がる18世紀の宮廷服をはじめ、鳥をあしらった帽子、極端に細いウエストや膨れ上がった袖のドレスなど、当時の人々の美意識が凝縮された作品を披露する。

Helmut Lang(ヘルムート・ラング)カットアウト・カーディガン 2003 年春夏 ©京都服飾文化研究財団、ヘルムート・ラング寄贈 撮影:守屋友樹

Gaultier Paris by sacai アンサンブル 「I Gaultier under my skin」2021 年秋冬(部分) ©京都服飾文化研究財団、撮影:守屋友樹

さらに、デザインを極限までそぎ落としてミニマルな装いを生み出すヘルムート・ラングや、時代や性別を超えた衣装を手がける川久保 玲(コム・デ・ギャルソン)の作品、ジャン=ポール・ゴルチエサカイのコラボレーションによるオートクチュール作品など、着る人や創作する人の「LOVE」にあふれた作品を多数展示する。

松川朋奈《それでも私が母親であることには変わりない》2018 年 個人蔵 © Tomona Matsukawa courtesy of Yuka Tsuruno Art Office, photo by Ken Kato

AKI INOMATA《やどかりに「やど」をわたしてみる ‒Border‒》2010/2019 年 京都国立近代美術館蔵 ©AKI INOMATA

また、身近な友人との日常を切り取り、ありのままに生きることを肯定するヴォルフガング・ティルマンス(Wolfgang Tillmans)の写真、同世代の女性たちのインタビューを題材にその日常と内面を描き出す松川朋奈の絵画、背負う貝殻を変えるヤドカリの姿に人のアイデンティティを重ね合わせるAKI INOMATAの作品など、アーティストたちの作品を通して、さまざまな願望や葛藤を抱えながら現代を生きる多様な「私」のありようを知ることができる。

Balenciaga(クリストバル・バレンシアガ) イヴニング・ドレス 1951 年冬 ©京都服飾文化研究財団、撮影:畠山 崇

Christian Dior(クリスチャン・ディオール)イヴニング・ドレス 1951 年春夏 ©京都服飾文化研究財団、撮影:来田 猛

展覧会のグラフィック・デザインは岡﨑真理子が、会場デザインは建築コレクティブ「GROUP」が担当。記念講演会やギャラリートーク、ワークショップなども用意しており、「着ること」の面白さや奥深さについて多様な角度から再認識できるだろう。

同展は、熊本市現代美術館(2024年12月21日~2025年3月2日)の後、東京に巡回を予定している。End

LOVEファッション―私を着がえるとき

会期
2024年9月13日(金)~11月24日(日)
会場
京都国立近代美術館
主催
京都国立近代美術館、公益財団法人京都服飾文化研究財団(KCI)
詳細
https://www.kci.or.jp/love/