三菱一号館美術館による新たな視点の展覧会
「再開館記念『不在』ートゥールーズ=ロートレックとソフィ・カル」

アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック《メイ・ミルトン》、1895年、リトグラフ/紙、三菱一号館美術館蔵

東京・丸の内の三菱一号館美術館は、2023年4月からの長期休館を経て、展覧会「再開館記念『不在』ートゥールーズ=ロートレックとソフィ・カル」を2024年11月23日(土・祝)から2025年1月26日(日)まで開催する。

アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック《アリスティド・ブリュアン》、1892年、リトグラフ/紙、三菱一号館美術館蔵

同館では、「美術館は時代の変化に応じて、常にその活動を見直す必要がある」という考えのもと、時代を映す優れたアーティストの感性を通じて展覧会を読み解くことを目指してきた。開館10周年記念展として2020年に企画された「1894 Visions ルドン、ロートレック」では、現代フランスを代表するアーティスト ソフィ・カル(Sophie Calle、1953-)を招聘することにしていたが、新型コロナウイルスの流行によってカルの来日は中止となり、現代アーティストとの協働というプロジェクトは延期となった。

アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック《ジャヌ・アヴリル(ジャルダン・ド・パリ)》、1893年、リトグラフ/紙、三菱一号館美術館蔵

アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック《『イヴェット・ギルベール』表紙》、1894年、リトグラフ/紙、三菱一号館美術館蔵

これを受けて、今回はアンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック(1864-1901)の多彩な版画・ポスターを、同館のコレクションを中心に、フランス国立図書館の所蔵作品を併せて展示。またソフィ・カルが、同館のコレクションのなかからオディロン・ルドン(1840-1916)の《グラン・ブーケ(大きな花束)》に着想を得て作品を制作した。同館に寄贈されたこの新作を世界初公開するという、新たな視点の展覧会となる。

アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック《ロイ・フラー嬢》、1893年、リトグラフ/紙、フランス国立図書館蔵

アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック《『彼女たち』 行水の女―たらい》、1896年、リトグラフ/紙、三菱一号館美術館蔵

展覧会のタイトルにある「不在」は、ソフィ・カルが長年にわたり考察を巡らせてきたテーマである。一方でトゥールーズ=ロートレックは、「不在」と表裏一体の関係にある「存在」について、「人間だけが存在する。風景は添え物に過ぎないし、それ以上のものではない」と語っている。

展覧会や美術館活動にとって、作者の「不在」や作品の「存在」とはいったい何を意味するのか。また、作品を手がけた当事者が関わることのできない展覧会や美術館活動の「存在」とは何なのか。トゥールーズ=ロートレックやソフィ・カルの作品を読み解きながら考えてみたい。End

再開館記念「不在」ートゥールーズ=ロートレックとソフィ・カル

会期
2024年11月23日(土・祝)~2025年1月26日(日)
時間
10:00~18:00
※金曜日と会期最終週平日、第2水曜日は20:00まで。
休館日
月曜日、12月31日、2025年1月1日
※[トークフリーデー : 11月25日、12月30日]、2025年1月13日、1月20日は開館。
会場
三菱一号館美術館(東京都千代田区丸の内2-6-2)
詳細
https://mimt.jp/ex/LS2024/

ソフィ・カル氏ポートレート Sophie Calle Photography : Yves Géant