函館の和と洋を折衷した
長坂常/スキーマ建築計画による「千秋庵総本家」

Photos by 高野ユリカ

国際的な貿易港として世界に開かれた港町である北海道函館市には、歴史を感じるレンガ造の倉庫や洋館、蔵が数多く残されている。1階が和風、2階が洋風という上下和洋折衷の建物を目にすることも多い。

こうした和洋折衷の建物が並ぶ場所で長年にわたり地元客に愛されてきたのが、老舗和菓子店の千秋庵総本家。2024年5月、同社は「千秋庵総本家 宝来町本店」のリニューアルオープンを行った。店舗設計は、建築家 長坂常(スキーマ建築計画)が担当した。

蔵を中心に周りが木造でつくられた和風の建物で、正面の構えは函館のランドマーク的存在でもあった。店舗改修にあたっては、今まで倉庫や梱包作業場として使われていた蔵をカフェに転用。和菓子を買いに来た地元客や観光で訪れた人たちが、休息を取りながらコーヒーが飲めるカフェとしたほか、既存の店舗やオフィスも改装した。

長坂は、これまでと変わらず、多くの人たちに愛される和菓子屋になるようにと、老舗和菓子店としての建物正面の構えや伝統的な日本家屋の佇まいは残しつつ、函館の人たちになじみ深いレンガを採用。

建物の外部床に敷き詰められたレンガを既存の木造建築内部にまで連続させ、土間の素材として使用したほか、カウンターやベンチにも連続させて、「和」の既存建築に「洋」の素材であるレンガをなじませた和洋折衷の店舗を目指した。End

千秋庵総本家 宝来町本店

設計
長坂 常/スキーマ建築計画
延床面積
197.54㎡
構造
木造
所在地
北海道函館市宝来町9-9
営業時間
9:30~18:00
定休日
水曜日
詳細
https://sensyuansohonke.co.jp/