NEWS | 建築
2024.08.30 17:06
14億人の人口を抱え、経済成長がめざましいインドだが、伝統的な教育スタイルが残る地方もある。南東部のアンドラ・プラデシュ州にある都市ヴィジャヤワダもそのひとつだ。同州で唯一のインターナショナルスクール「Bloomingdale International School」は、遊び心のあるユニークな建築を通じて幼児教育の拡張に挑んでいる。
このほど完成した「Cocoon」と呼ばれる施設は、遊びと学びの空間をシームレスに組み合わせ、その境界が曖昧となっている。設計は、同国のアフマダーバードに拠点を置く建築設計事務所 andblack design studioが手がけた。
キャンパス内に約370平米の広さをもつ幼稚園には、既存の校舎と、地上から一段低くなった中庭がある。今回のプロジェクトでは、中庭の奥にある丘のような小高い場所に、およそ100人の園児を収容する施設が求められた。同事務所は、従来の校舎とは異なる空間構成を採用し、建物の外装と周囲の景観、室内が一体となった建築をデザインした。
大きな特徴である波打つ天井は、園児たちの室内での自由な動きや交流を生み出している。壁の代わりにフルハイトのガラスパネルを使用し、屋根には天窓を設置することで、屋外と室内シームレスにつなげた。建物の前にあるくぼんだ中庭は、遊び場や階段教室、円形劇場、水遊びのできる場所としても利用できる。
「建築は景観の一部ではなく、それ自体が景観の姿をしているべきだ」という考えのもと、屋根の全体を芝生で覆い、起伏の豊かな丘のように仕上げ、建築と景観のつながりも生み出した。建物は、地元のランドマークになるだけでなく、建物の名称が示す通りに「繭」として子どもたちを守り、健やかに育てていくだろう。