現代イタリアを代表する建築家による展覧会
「六本木六軒:ミケーレ・デ・ルッキの6つの家」開催

東京・六本木の21_21 DESIGN SIGHT ギャラリー3では、現代イタリアを代表する建築家・デザイナー・アーティストであるミケーレ・デ・ルッキ(Michele De Lucchi)の展覧会「六本木六軒:ミケーレ・デ・ルッキの6つの家」が、2024年9月20日(金)から10月14日(月・祝)まで開催される。

建築家として先鋭的な活動を続けるとともに、手仕事への思いから20年以上にわたって創作活動に取り組み、新たなフォルムを探求してきたミケーレ・デ・ルッキ。マテリアルの選択から仕上げにいたるまで、さまざまなプロセスにおいて絶え間なく行われる同氏の実験は、芸術を生成させる力となり、建築の新たな概念を思考・定義する原動力にもなっている。

「ロッジア 387」クルミ材(2015) Photo by Michele De Lucchi

今回の展覧会では、デ・ルッキの創作活動のひとつである彫刻「ロッジア」シリーズの新作3点をはじめ、日本初公開となる作品を紹介。木製3点・ブロンズ製3点で構成される「ロッジア=6つの家」(セイ カーゼ)を、制作過程の映像とともに展示する。六本木の地名がかつて存在した6軒の武家屋敷に由来するという説と、彫刻作品「6つの家」との偶然の一致から、同展を「六本木六軒」と名づけた。

これら6つの家は、アセチル化処理(木材を安定させ、耐水性・耐朽性などを高める酸化処理)を施したオーク材の台座に配置。そのディテールのデザインもデ・ルッキが手がけている。「木とブロンズは、人類が文明を形成し、人間性を成長させてきたもっとも古くて高貴なマテリアルです」とデ・ルッキは説明する。

また、デ・ルッキが「ロッジア」の制作のなかで探究したのは、「間(あわい)の空間」の概念である。これは、家の内と外をつなぐ空間であり、内で営まれる生活と外の環境が融合する場でもある。そこで「ロッジア」の壁には、日本家屋の仕切りである障子と、ヨーロッパの住居におけるロッジア(涼み廊下)を想わせる要素を編み込んだ。

「『ロッジア』は、伝統的な日本の茶室を想わせると同時に、建物の内と外との間に連続的な空間をつくり出そうと試みる、現代の先端建築を想起させます。自然の驚異的な力と人間のはかない本質を共存させるため、建築と人と自然との関係はますます重要なものとなります。私たちは、生き方の新たなふるまいを模索する必要があるのです」と同氏はコメントする。

デ・ルッキにとって「ロッジア」は、人が生きる空間をイメージするための自由な旅のような作品だ。それはまた、パッケージ化された建築の概念から離れて、外の世界を採り入れ、透過性のある環境を探求することでもある。同展は、実在する場所について考えるひとつの方法を示し、人々が他者や都市、あるいは自然と共に生きる助けとなる、健全な建物とはなにかを提案するものとなるだろう。End

六本木六軒:ミケーレ・デ・ルッキの6つの家

会期
2024年9月20日(金)~10月14日(月・祝)
開館時間
10:00~19:00 火曜休館・入場無料
※六本木アートナイト期間の9月27日(金)・28 日(土)は10:00~22:00
会場
21_21 DESIGN SIGHT ギャラリー3
(東京都港区赤坂9-7-6 東京ミッドタウン ミッドタウン・ガーデン)
詳細
https://www.2121designsight.jp/