長坂常/スキーマ建築計画が設計を手がけた
岐阜・大垣菓子の美味しさを伝える「船町ベース」

Photos by 高野ユリカ

岐阜県大垣市で菓子製造を営む栄光堂ホールディングスは、大垣菓子の美味しさを発信し、地域の賑わいを創出するための複合施設「船町ベース」をオープン。同施設の設計は、建築家 長坂 常(スキーマ建築計画)が担当した。

松尾芭蕉の「奥の細道」の終着点としても知られる交通の要衝・大垣。古くから豊富な地下水を生かした菓子づくりが行われ、市中心部にある船町は、江戸時代より人・もの・文化の行き交う地として栄えた。

「船町ベース」は、かつてのような賑わう場所を提供したいという思いからスタート。「隣接する公園を延長したようなカフェ併設の和菓子屋」というコンセプトのもと、川辺や公園を散歩していると、いつの間にか和菓子屋にたどり着き、餡を練る様子や饅頭をふかす匂いに引き込まれていくイメージで構想された。

その一方で、和菓子屋のスペースに対して、レストランが大きくなりすぎるおそれがあったため、建物の棟を厨房と客席に分割。間を置いた3つの棟の上を大きな屋根が覆う構成とした。

さらに、庇を大きくのばして、内と外の連続性を生み出すことで、屋内にいるかのような居心地のよい場所を屋外にも創出。また、内と外をつなぐきっかけとなるように、高さをもたせた基礎を、和菓子を受け取るカウンター、一息つくためのベンチ、和菓子づくりに使われる井戸として活用している。

施設内では、大垣で江戸末期に創業し、2019年に店を閉じた老舗和菓子屋「金蝶堂總本店」を復活させた「シン・金蝶堂」や、同市のソウルフード「オダマキ」や地元の食材でできたメニューを提供するカフェを展開する。End

船町ベース

設計
長坂 常/スキーマ建築計画
所在地
岐阜県大垣市船町2丁目1-1
オープン
2024年3月
延床面積
326.17m²
席数
店内 36席、店外 16席
定休日
毎週木曜日・年末年始
営業時間
船町カフェ 9:00~18:00
詳細
https://funamachi-base.cafe/