ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展が2025年に開催
日本館展示のキュレーターは青木 淳に決定

ヴェネチア日本館 改修イメージ図 ©藤倉麻子+大村高広

第19回ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展」が、イタリアで2025年5月10日(土)から11月23日(日)まで開催される。国際交流基金が主催する今回の日本館展示は、「中立点-生成AIとの未来」というタイトルのもと、キュレーターに建築家の青木 淳(AS Co. Ltd.代表)を迎える。

青木は、1956年横浜生まれの建築家。1982年に東京大学修士課程建築学修了し、磯崎新アトリエでの勤務を経て、1991年に独立。青木淳建築計画事務所(現・AS)を主宰し、設計を手がけた京都市京セラ美術館の館長も務めている。

藤倉麻子+大村高広, Fixing Garden, 2022

藤倉麻子+大村高広, Trans-prompt, 2023

青木は、「SNSなどデジタル技術の普及のなかで、ポリティカルにコレクトで、ただミスや欠点がない、最大公約数的で凡庸な社会に向かって突き進んでいるように思われます」と、生成AIが及ぼす影響を踏まえ、テーマとして「中立点」を提案した。

「間」という観念は伝統的にとらえると、日常的な意味での「あいだ」である以上に、2つの事物の応答(対話)が孕むテンションであり、そのテンションのふるまいがひとつの虚なる主体として潜在するものである。そこで青木は、主体を人間に置くのでも、生成AIに置くのでもなく、そのあいだの虚なる「中立点」つまり「対話」に主体を措定することに賭けてみる価値があると考えた。

砂木, 小豆島ハウス, 2022 ©Kaori Yamane

砂木, 小豆島ハウス, 2022 ©Kaori Yamane

今回の展示では「日本館」そのものを「対話」の試みの対象とする。生成AIを「日本館」を構成する複数の部位に憑依させ、生成AIとのギクシャクした対話のなかから、「日本館」をフィクショナルに、またアクチュアルに「改装」することを通して、人間と生成AIの「中立点」という主体を浮かび上がらせることがねらいだ。End

第19回ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展 日本館展示

タイトル
中立点 - 生成AIとの未来(英題:IN-BETWEEN – A Future with Generative AI)
主催/コミッショナー
国際交流基金
キュレーター
青木 淳(建築家、AS Co. Ltd.代表)
キュラトリアルアドバイザー
家村珠代(インディペンデントキュレーター、多摩美術大学教授)
出品作家
藤倉麻子+大村高広(アーティストと建築家によるユニット)
砂木(木内俊克と砂山太一による建築ユニット)

第19回 ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展 全体概要

会期
2025年5月10日(土)~11月23日(日)
会場
ジャルディーニ地区(Giardini)、アルセナーレ地区(Arsenale)、他ヴェネチア市内各所
総合ディレクター
Carlo Ratti
総合テーマ
Intelligens. Natural. Artificial. Collective.
公式サイト
https://www.labiennale.org/en

青木 淳 Photo by 前谷 開