長坂常/スキーマ建築計画が手がけた
フレグランスショップ「ル ラボ 京都町家」

ニューヨーク発のフレグランスブランド「ル ラボ(LE LABO)」の京都初のフラッグシップストア「ル ラボ 京都町家(LE LABO KYOTO MACHIYA)」が、京都市中京区にて2024年3月にオープン。店舗設計は、建築家の長坂 常(スキーマ建築計画)が手がけた。

築145年の町家を改装した同店は、京都の繁華街のひとつ、木屋町に位置する。1階には店舗とヴィーガンカフェ、中庭があり、2階には「フレグランス オルガン(調香の間)」および「クラフツマンシップ ルーム(工匠の間)」を構える。前者は調香師の仕事場として使われ、後者は日本国内の職人やアーティストの作品を展示し、パフューマリーと地域の職人技の融合を紹介するオープンアトリエとして使用される。

長坂は、ル ラボの使い古されたものや侘び寂びに美を見出す感覚に着目。コンクリート躯体の建物とは構造的にも様式的にも異なる京都の町家を活かし、地域的かつ歴史的な文脈を踏まえた店づくりをする必要があると考えた。

和と洋の最適なコンビネーションの実現に向けては、多くの事柄が課題となった。例えば、靴を脱ぐ場所、畳の間でのディスプレイの配置、和の空間における立ったままでも見やすい商品台の高さ、照明がない時代からある空間への照明の導入、和の空間への調香イメージの取り入れ方、商品を取り扱う上で必要な空間の清潔さと建物の既存部分の兼ね合い、木造建築とブランドを象徴する仕上げの両立などが挙げられる。

長坂とブランドプレジデント兼クリエイティブディレクターであるデボラ・ロイヤーは対話を重ね、意匠面からプランニング、詳細な家具のあり方、アンティークの家具のセレクトまで行った。カウンター、壁面棚、階段など、建築に関わる造作は町家のものに合わせ、塗装は弁柄と松煙による伝統的な古色塗りで既存部分との統一を図った。また、什器は日本のアンティークをメインとし、各所に設置した照明は西洋のヴィンテージを選んだ。

伝統文化が根づく古都・京都を舞台とした「ル ラボ 京都町家」。町家の建築と新しい造作、家具、商品をていねいにつなぎ合わせ、融合させることで、時間を経たものやクラフツマンシップ、手仕事や質感を大切に扱うブランドの精神を表現した店舗に仕上がった。End

LE LABO KYOTO MACHIYA ル ラボ 京都町家

設計
長坂常/スキーマ建築計画
所在地
京都府京都市中京区木屋町通四条上る2丁目下樵木町206番地
営業時間
10:00~19:00
詳細
https://www.lelabofragrances.jp/pages/lelabo-kyoto-machiya