「版」表現の代表作を紹介する展覧会
「印刷/版画/グラフィックデザインの断層 1957–1979」開催

木村秀樹《鉛筆 2-3》 1974年 京都国立近代美術館蔵

京都市左京区の京都国立近代美術館は、「印刷/版画/グラフィックデザインの断層 1957‒1979」を2024年8月25日(日)まで開催中。東京国際版画ビエンナーレ展の出品作家を中心に、版画とグラフィックデザインを通して、印刷技術がもたらした可能性とその今日的意義を検証する展覧会だ。

横尾忠則 《「第6 回東京国際版画ビエンナーレ展」ポスター》 1968年 国立工芸館蔵

マス・コミュニケーション時代が到来した戦後の日本では、印刷技術も飛躍的な発展を遂げた。それにともない、美術と大衆文化の結びつきが一層強まり、複製メディアによる表現が注目を集めた。そのなかで印刷・版画・グラフィックデザインは、それぞれ近接し重なり合いながらも、決定的なズレをもつ「断層」のような関係にあった。そして、その断層の意味を積極的に捉え直して自在に接続したり、その差異を強調したりするようなさまざまな実践が行われてきた。

その舞台のひとつとなったのが、世界各国から作品が集められた「東京国際版画ビエンナーレ展」。1957年から1979年までの全11回にわたり開催され、当時の気鋭の版画家やデザイナーの活躍の場となった。今回の展覧会では、京都国立美術館のコレクションから、同展の受賞作や出品作を展示。浜口陽三、池田満寿夫、菅井汲、加納光於、野田哲也、高松次郎、木村秀樹、井田照一など、「版」表現に挑んだ作家たちの代表作を紹介する。

また、原弘、田中一光、永井一正、横尾忠則、杉浦康平など、日本を代表するグラフィックデザイン界の巨匠たちが手がけた「東京国際版画ビエンナーレ展」のポスターも展示。戦後美術の動向ととも展開した、版画とグラフィックデザインの関係性について理解する機会となるだろう。End

印刷/版画/グラフィックデザインの断層 1957‒1979

会期
2024年5月30日(木)~8月25日(日)
開館時間
10:00~18:00(入館は閉館の30分前まで)
※金曜日は20:00まで開館(5月31日、6月7日、8月23日を除く)
休館日
月曜日(ただし、7月15日(月・祝)、8月12日(月・休)は開館)、7月16日(火)、8月13日(火)
会場
京都国立近代美術館(京都市左京区岡崎円勝寺町26-1)
詳細
https://www.momak.go.jp/Japanese/exhibitionarchive/2024/458.html

トークセッション「版画/現代美術の断層」(仮称)

日時
2024年7月20日(土) 14:00~15:30
登壇者
播磨みどり(アーティスト)、髙橋耕平(アーティスト)、牧口千夏(京都国立近代美術館主任研究員・同展担当者)
定員
先着80名(当日11時より1F受付にて整理券を配布。整理券はひとり1枚のみ)
参加費
聴講無料
会場
京都国立近代美術館 1F講堂