雑誌づくりの魅力をデザインの観点から紹介する展覧会
「『アンアン』『ポパイ』のデザイン 新谷雅弘の仕事」

新谷雅弘《『ポパイ』表紙レイアウト原稿》2023年(再制作)部分と『ポパイ』1978年6月10日号表紙 部分 ©マガジンハウス ®Hearst Holdings,Inc.

島根県松江市の島根県立美術館は開館25周年を記念して、アートディレクター 新谷雅弘(しんたに・まさひろ)の仕事を紹介する展覧会「『アンアン』『ポパイ』のデザイン 新谷雅弘の仕事」を2024年6月28日(金)から9月2日(月)まで開催する。

『アンアン』1970年6月5日号表紙、タイトルデザイン・アートディレクション:堀内誠一、写真:立木三朗 ©︎マガジンハウス

『アンアン』1971年7月5日号、アートディレクション:堀内誠一、レイアウト:新谷雅弘、イラストレーション:原田治 ©︎マガジンハウス

女性誌「アンアン」(平凡出版、現・マガジンハウス)は、「ファッション」と「旅」を主なテーマとし、当時まだ珍しかった海外でのロケを頻繁に行うなど、それまでにない画期的な雑誌として1970年に創刊された。この雑誌のアートディレクターとして重要な役割を果たしたのが、グラフィックデザイナーの堀内誠一(1932-1987)である。同氏はビジュアル中心の斬新な誌面を打ち出し、その後のエディトリアルデザインに大きな影響を与えた。

『ポパイ』1976年11月1日号表紙、 タイトルデザイン:堀内誠一、カバーデザイン:新谷雅弘、イラストレーション:佐藤憲吉 ©︎マガジンハウス ®Hearst Holdings,Inc.

『ポパイ』1977年5月25日号、デザイン:新谷雅弘、写真:長浜治、©︎マガジンハウス、®Hearst Holdings,Inc.

新谷は、堀内のもとで「アンアン」創刊時から誌面デザインに携わり、のちに男性誌「ポパイ」(平凡出版、現・マガジンハウス)のアートディレクションを担当。1976年に創刊された「ポパイ」は、当時のアメリカ文化を日本に紹介して人気を博すとともに、編集者が大量の記事素材を収集し、デザインチームがカタログ的に構成するスタイルにより、後続誌の流れを形づくることにもなった。 

同展では、新谷の手がけた1970年から1980年代のエディトリアルデザインを中心に構成。誌面を通じて、「雑誌のデザインは編集部を描いた絵」「雑誌のレイアウトに課せられているのは人間くさい部分の表現」といった、新谷独自のデザイン哲学を考察する。また、当時はイラストレーションが広く普及していった時代背景もあることから、誌面に登場するさまざまなイラストレーターの仕事も展示する。

『ブルータス』1981年7月1日号 アートディレクション:新谷雅弘、イラストレーション:山崎正夫 ©︎マガジンハウス ®Hearst Holdings,Inc.

会期中は、オープニングセレモニーをはじめ同展の監修者でもある新谷自身を招いたトークイベントなど、多彩な関連イベントも開催。雑誌づくりの魅力をデザインの観点から多面的に楽しむことができる。End

「アンアン」「ポパイ」のデザイン 新谷雅弘の仕事

会期
2024年6月28日(金)~9月2日(月)
開館時間
10:00~日没後30分(展示室への入場は日没時刻まで)
休館日
火曜日 ※ただし8月13日(火)は開館
会場
島根県立美術館 企画展示室(島根県松江市袖師町1-5)
詳細
https://www.shimane-art-museum.jp/exhibition/000663.html

オープニングギャラリートーク

講師
新谷雅弘(デザイナー・同展監修者)
日時
2024年6月28日(金) 10:00頃~(約45分)
※要企画展観覧料
会場
企画展示室

トークイベント「POPEYEはどのように生まれたのか」

講師
石川次郎(編集者)、新谷雅弘(デザイナー、同展監修者)
日時
2024年8月24日(土) 14:00~(約90分)
※聴講無料・当日先着順
会場
美術館ホール(190席/13時30分開場)
詳細
https://www.shimane-art-museum.jp/event/