Photo by YASHIRO PHOTO OFFICE

富士山の麓に位置し、都内からクルマで約90分の距離にある山梨県山中湖村にて、独創的な建築による湖畔のサウナ「CYCL（サイクル）」が2024年4月26日（金）にグランドオープンした。

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建築を手がけたのは、百枝 優が率いるYU Momoeda Architects。富士山と山中湖を眺めることができるこの絶景地での建築には、自然公園法に基づく環境省の認可が求められる。「矩形の平面」、「伝統的な屋根形状」、「ガラス面積は壁全体の半分以下」という主に3つの外形に関する制約が存在するなかで、百枝は建築を地域固有の歴史につながる風景の一部にしたいと考えた。そこで注目したのが富士山にかかる「笠雲」だ。この地域では古くから笠雲の形状を見て天気を予測してきた。この富士山と笠雲の関係性を建築に置き換え、大地が隆起した山のような形状の構造体で屋根を浮遊させることを思いつく。

構造体で屋根を支えることで2階には無柱空間が広がる。Photo by YASHIRO PHOTO OFFICE

山を模した構造体の内部にはサウナの主機能が配置されている。山の頂部には天窓と通気口が設けられ自然光と外気が各室に届く。サウナ室では太陽の明るさを、掛け流しの水風呂では地下水の音と冷たさを、内気浴室では風の心地よさを感じることができる。

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1階の最深部にあるサウナ室では、フィンランドのサウナブランド HARVIA（ハルビア）製のセルフロウリュが可能な高出力ストーブにより、心地よいスチームを提供。Photo by 深尾大樹

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ミネラルが豊富な富士山系天然地下水を贅沢に掛け流しする深さ120cmの水風呂。Photo by YASHIRO PHOTO OFFICE

外気浴スペースでは富士山を望む開放的な雰囲気が楽しめる。Photo by YASHIRO PHOTO OFFICE

こうした自己の内面に向かう1階の循環を経て2階に上がると、全方位に視覚的に開かれた無柱空間が広がる。自然風景に呼応した空間に佇み、美しい景色を眺めながらゆったりとした時間を過ごすことができる。

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建築設計：YU Momoeda Architects
クリエイティブディレクション：川浪寛明
施主：丸留