建築家 平田晃久の作品を紹介する展覧会
「平田晃久―人間の波打ちぎわ」練馬区立美術館にて開催

太田市美術館・図書館 (2017) ©︎Daici Ano

東京の練馬区立美術館では、建築家 平田晃久の展覧会「平田晃久―人間の波打ちぎわ」を2024年7月28日(日)から9月23日(月・祝)まで開催。これまでの作品に加え、現在進行中のプロジェクト、さらには未来への展望まで、平田の世界観を紹介する。

平田はこれまで、「建築とは『からまりしろ』をつくることである」というコンセプトで、自身の建築に対する思想を説明してきた。同氏の造語「からまりしろ」とは、はっきりと形づくられる空間領域とは異なる、「ふわふわとした隙間の錯綜」や「あらゆる物質の傍らともいえる領域の重なり」を指す。

Bloomberg Pavilion (2011) ©︎Takumi Ota

Tree-ness House (2017) ©︎Vincent Hecht

それは人間世界に限らず、動物や植物、あるいは異なる時空の文化なども含んだ、広い意味での生命体との「共有可能性」を探る試みであり、人間が狭い意味での人間から自由になるための未来に向けた試みでもある。またそれは、人間がつくり上げた建築空間ではなく、自然の偶然性とともに見出される建築的空間でもある。

同展では、新たに「波打ちぎわ」という言葉を掲げ、3章構成で同氏の作品群を紹介。スケッチや模型、インスタレーションを中心に、「波打ちぎわ」を体験できる展示空間をつくり上げる。第1章は「からまりしろ」で、建築が人間と動物の「波打ちぎわ(境界やあいだ)」に現れることを示す。第2章と第3章は、無数の人々との共鳴、過去と現在との共鳴、今こことどこか遠くの場所との共鳴など、建築がもつ「響き」をテーマとする。

練馬区立美術館・貫井図書館 模型 ©︎平田晃久建築設計事務所

会場となる練馬区立美術館は、「21世紀の富士塚/アートの雲/本の山」をコンセプトに、平田の設計で2028年度のリニューアルオープンを目指している。同展では、平田の建築思想への概念的アプローチから、具体的な建築作品をとおして平田建築の未来への展望を知ることができるだろう。End

平田晃久―人間の波打ちぎわ

会期
2024年7月28日(日)~9月23日(月・休)
休館日
月曜日 ただし、8月12日(月・休)・9月16日(月・祝)は開館、翌8月13日(火)・9月17日(火)は休館
開館時間
10:00~18:00(入館は17:30まで)
会場
練馬区立美術館(東京都練馬区貫井1-36-16)
詳細
https://www.neribun.or.jp/event/detail_m.cgi?id=202402101707551005

八代市民俗伝統芸能伝承館(お祭りでんでん館)(2021) ©︎Daici Ano

シャイニング・クラウズ(2022) ©︎Yasushi Ichikawa