生徒の自発的な学習を可能にする
上海の小中学校「Chonggu Experimental School」

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上海市に新しい公立の小中学校「Chonggu Experimental School」が誕生した。1~9年生が通う同校は、現地の公立学校の伝統的な教育スタイルに対して、探究をベースとした形式にとらわれない学習を展開する学校である。

校舎の設計を手がけたのは、メルボルンと上海を拠点とする建築設計事務所 BAU(Brearley Architects+Urbanists)。同事務所は、従来の工場のようなものではなく、遊びや喜び、想像力を形にした建築デザインを目指した。校舎は付近を流れる運河と建築家Zhang Zai Yuanの詩情あふれる絵画をモチーフとし、外壁や窓、中庭に面した廊下が波打つように曲がっているのが特徴である。

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校舎内では、教室の間にある壁を可動にすることで、グループ学習が可能になり、生徒中心の教育を実現。廊下に面した教室の壁は、展示などのプログラムを行いやすいようにガラス張りにした。さらに、教室に快適さをもたらす仕組みとして、太陽光を遮る庇やボードを施している。

また、2フロアからなる広々とした屋外学習施設を整備。ピア・ラーニングや調査学習、STEAM教育といったさまざまなタイプの教育プログラムに対応している。運河沿いには体育館をはじめ、図書館、講堂、音楽室、美術室などを配置し、窓やベランダ、テラスからは周囲に広がる緑や運河を見渡すことができる。将来的には運河のフェンスが撤去され、学校と運河が一体化する景観となる予定だ。

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建物の構造はプレハブ化により、建設コストや工期、廃棄物を削減。敷地と屋上の大部分を植栽で覆い、持続可能な排水システム、保水機能を備えたスポンジシティ化、生物多様性の確保、ヒートアイランド現象の軽減を図り、パッシブソーラーシステムを採用してCO2排出量を削減するなど、都市が抱える課題の解決にも一役買っている。End