青森県内の個性的な5つの美術館・アートセンターによるアートフェス「AOMORI GOKAN アートフェス2024」が2024年9月1日（日）まで開催中。青森県立美術館、青森公立大学 国際芸術センター青森、弘前れんが倉庫美術館、八戸市美術館、十和田市現代美術館を舞台に、これまでにないアートプロジェクトを展開する。

青木 淳 《つながりのはらっぱ のための壁》

これらの美術館は、青森県民や観光客に対してアート体験と地域の周遊を促すプロジェクト「5館が五感を刺激する―AOMORI GOKAN」を2020年よりスタートした。今年から装いも新たにアートフェスを開催。地域に根差して活動する各館のキュレーターが協働し、展覧会やプロジェクト、パフォーマンスなど、各館の特徴を活かした多様なプログラムを用意している。

2024年度のテーマは「つらなりのはらっぱ」。なにか目的をもって行くのではないが、訪れることでなにかに出会い、なにかが起こる。そんな特別だけれども日常と地続きになった場所が「はらっぱ」である。このテーマには、5館がそれぞれ「はらっぱ」のように機能し、個性的な活動のつらなりから新たな関係性が紡ぎ出されるようにとの想いが込められている。

青森県立美術館　メイン企画「かさなりとまじわり」
井田大介 《Synoptes》 2023年 ミクストメディア

青森公立大学 国際芸術センター青森　メイン企画「currents / undercurrents －いま、めくるめく流れは出会って」
岩根 愛《The Opening》2024年

弘前れんが倉庫美術館　メイン企画「蜷川実花展 with EiM：儚なくも煌めく境界 Where Humanity Meets Nature」
蜷川実花 《Sanctuary of Blossoms》 2024年

八戸市美術館　メイン企画「エンジョイ ! アートファーム !!」
展示風景 東方悠平 《自由の像、不自由なバナナ》2024年

十和田市現代美術館 メイン企画「野良になる」
展示風景（丹羽海子、䑓原蓉子）

メインとなるのは、同テーマのもと各館で開催される展覧会。青森県立美術館の「かさなりとまじわり」では、展示室を含めた各室を「はらっぱ」に見立て、美術館というひとつの街を自由に散策しながら、建築とアートの魅力を発信する。八戸市美術館の「エンジョイ ! アートファーム !!」や十和田市現代美術館の「野良になる」でもまた、多様な視点で自然を見つめるアーティストたちの表現に出会えるだろう。

栗林 隆 《元気炉》2022年 （《蚊帳の外》ドクメンタ15、ドイツ・カッセル）より Photo：Rai Shizuno

アートフェス後半の8月から最終日にかけて全館共通企画として現代美術家の栗林 隆による「元気炉」が巡回する。観客は原子炉の形状をした構造物の中に入り、そこで発生する薬草の香りを帯びた蒸気を体験するという作品で、原子炉を模した作品の内部空間や周囲に人々が集い、植物のエネルギーを感じることができる。