NEWS | アート / 展覧会
2024.05.15 15:46
パリ在住の現代美術家 フィリップ・パレーノ(Philippe Parreno)の展覧会「フィリップ・パレーノ:この場所、あの空」が、2024年6月8日(土)から12月1日(日)まで神奈川県箱根町のポーラ美術館で開催される。
映像、音、彫刻、オブジェ、テキスト、ドローイングなど、多岐にわたる作品で注目を集めるパレーノ。現実/フィクション/仮想の境界、実物と人工物との間に生じる乖離、その奇妙なずれを常に意識し、芸術や作者性の概念に疑問を投げかける作風が特徴である。
国内では最大規模の個展となる今回は、同氏の代表作である映像作品「マリリン」(2012)をはじめ、ドローイング、立体、映像、大規模なインスタレーションまで、初期作品を含めた、作家の幅広い活動をさまざまな角度から紹介する。
まず私たちを惹きつけるのは、空間を自由に漂う魚の群れ、誰もいないのに音を奏でるピアノ、打ち明け話をするように明滅するランプ、宙に浮いた吹き出し、夏の雪、巨大なスクリーンといった、ノスタルジックで不思議な光景の連続である。展覧会そのものを「カメラのない映画」と形容するパレーノは、照明と音に彩られた壮大な「映画」のなかに鑑賞者を誘う。
さらに、ある空間から別の空間へと私たちを連れ出すのも、パレーノらしい手法のひとつ。マリリン・モンローが住んでいたホテルのスイートルームから森を眺める水槽のなかへ、輝く雲が浮かぶ部屋から、海の底、漆黒の庭、そして宇宙へと、訪れた人にはいくつもの場所と空間を巡る精神と感覚の旅が用意されている。
また、パレーノは、その場所の特性や建築を活かした展示構成も得意としており、同展では箱根の豊かな自然を背景に、太陽を追跡する大型のミラー作品などを展開する。色とりどりの魚たちが漂う展示室の大窓からは仙石原の深い森が一望できるなど、同館ならではの季節の移ろいも楽しめる。
フィリップ・パレーノ:この場所、あの空
- 会期
- 2024年6月8日(土)~12月1日(日) 会期中無休
- 開館時間
- 9:00~17:00(入館は16:30まで)
- 会場
- ポーラ美術館 展示室1、2、5、屋外
(神奈川県足柄下郡箱根町仙石原小塚山1285) - 詳細
- https://www.polamuseum.or.jp/exhibition/20240608c01/