NEWS | プロダクト / 展覧会
2024.04.04 15:16
ロンドンにあるデザインミュージアム(The Design Museum)では、イタリアデザイン界の巨匠 エンツォ・マーリ(Enzo Mari、1932-2020)の回顧展が2024年9月8日(日)まで開催中。
20世紀でもっとも重要なデザイナーのひとりに数えられるマーリ。イギリスで初開催となる今回の展覧会では、デザイナーとしてだけではなく、アーティスト、教師、批評家、理論家としても活動した60年にわたるキャリアに焦点を当て、300点を超える作品からマーリの全貌に迫る。
展示される作品は、家具をはじめ、プロダクトやグラフィック、コンセプチュアルなインスタレーション、さらには児童書やゲームに至るまで、マーリの幅広い活動領域を網羅。動物をかたどった木製パズルをはじめとして、子どもたちの遊ぶ姿を見てデザインしたおもちゃやゲームは、彼の代表作のひとつであり、同展覧会の見どころにもなっている。そこには、大人のみならず、子どもたちの求めるものも重要であると考えたマーリの思想が反映されている。
これらの作品とともに、マーリのリサーチプロセスと彼の作品を貫くデザイン原理を明らかにするアーカイブ資料も紹介されている。同氏がこだわったのは、素材と美しさの両面において長く使え、なおかつ誰でも入手しやすいデザインを創造することにあった。
マーリとは長年親交があり、同展のキュレーションを手がけたハンス・ウルリッヒ・オブリスト(Hans Ulrich Obrist)は、「マーリはいつも、デザインされたものは長持ちするようにつくらなければならないこと、資源の無駄づかいという考えに抗い、いつまでも残り続けるデザインであるべきだということを強調していました」と語る。デザインが果たすべき社会的責任へのマーリの揺るぎない信念は、私たちが抱えるさまざまな課題の解決にもヒントを与えてくれるだろう。
そのほか、ジャスパー・モリソンやリオ・コバヤシなど、マーリの活動に影響を受けたロンドンのデザイナー14組が作品を披露。オブリストによるマーリへのインタビュー動画も上映される。
Enzo Mari
- 会期
- 2024年3月29日(金)~9月8日(日)
- 会場
- the Design Museum(224–238 Kensington High Street London W8 6AG)
- 詳細
- https://designmuseum.org/exhibitions/enzo-mari