映像作家 アピチャッポン・ウィーラセタクン
個展「Solarium」が開催

1970年タイ・バンコク生まれの映像作家 アピチャッポン・ウィーラセタクンの個展「Solarium(ソラリウム)」が、2024年3月16日(土)から5月25日(土)まで東京・谷中のSCAI THE BATHHOUSEで開催される。

アピチャッポンは、2010年に長編映画作品「ブンミおじさんの森」でカンヌ国際映画祭最高賞(パルムドール)を受賞するなど、世界的な映画作家として知られる。その一方で、1998年以降は現代美術作家としても、映像インスタレーションを中心に多様な活動を展開してきた。

同展では、同氏が幼少期に夢中になったホラー映画から着想を得た、2チャンネル映像をガラスの両面に映し出す新作インスタレーション「ソラリウム」(2023)を公開。一方のスクリーンには、盲目の妻を救うため、患者の眼球を盗んだ狂気の医師を描いたタイ映画「The Hollow-eyed Ghost」(1981)を再現し、もう一方のスクリーンには、太陽の燦然とした輝きや、幾重にも重なる葉をすり抜ける木漏れ日などを映し出し、目に見えない光の暖かさを感じさせる。

展示会場は、スクリーンとして中央に置かれたガラスの構造体に反射し、双方向に飛び交う光と音の運動と拡散によって構成される。亡霊のようなイメージは、ガラスに貼られたホログラフ・フィルムに浮かび上がり、鑑賞者のいる物理空間に息づいてゆく。また、鑑賞者と被写体が入れ替わり、視覚が捉える領域とその外の世界を往復するなかで、私たち自身の存在のゆらぎが鏡のように映し出されていく。

アピチャッポンはこのインスタレーションについて、「亡霊は、映画監督のように、いつも光を体験するための装置を探しています。作品のタイトルは、この夢のような状態から逃れられず、自らつくり出した日光浴室(ソラリウム)に永遠に閉じ込められ、日の出の暖かな光を待ち望む亡霊を暗示しています」と解説している。

また、同展では、同氏のドローイングを初めて一般公開する。「ソラリウム」の映像シーンを彷彿とさせる光と影、眼球のスタディからなるモノクロームの水彩画シリーズと、近年の制作の過程で訪れた場所を記録した写真アーカーイヴを5部構成で編纂した立体作品「Boxes of Time」(2024)も披露される。End

アピチャッポン・ウィーラセタクン「Solarium」

会期
2024年3月16日(土)~5月25日(土)
開廊時間
12:00~18:00 ※日・月・祝日休廊
会場
SCAI THE BATHHOUSE(東京都台東区谷中 6-1-23 柏湯跡)
詳細
https://www.scaithebathhouse.com/ja/exhibitions/2024/03/apichatpong_weerasethakul_solarium/