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2024.03.01 17:01
ビジネス上の課題をデザインの視点から読み解き、解決策を提案するデザインコンサルティング。NTTデータのデザイナー集団Tangityは、多様な技能や知見を有するメンバーが共創型のコンサルティングを提案している。デザインの定義や役割が拡大・再解釈されるなか、デザインコンサルタント自身はどのような未来像を描いているのだろうか。Tangity Tokyoのデザイン責任者の村岸史隆が、コンサルティング企業アクセンチュアのなかでも多彩な人材が集まるアクセンチュア ソングで、国内のCCOおよびDroga5 TokyoのCCOを務める浅井雅也氏を招き、同業同士による「異例」とも言える対談を行った。
飛躍的に広がったアウトプットの多様性
ーーデザイナーの活躍する領域が広がり、デザインの定義自体も問い直されています。デザインコンサルティングという同じ業界のなかでおふたりは互いにどのような印象を持っておられますか。
村岸 浅井さんとは15年近く前にロサンゼルスでお会いして以来ですね。アクセンチュア ソングはマーケティングからサービスやテクノロジーのディベロップメント、体験設計から事業戦略まで360度カバーしておられます。それぞれの分野に専門的なスキルを持ったプレイヤーがいると思うんですが、ロールの幅が広い彼らをマネージメントして価値を創造することがひじょうに上手い。逆に言えば大変だろうなという印象を持っていました。
浅井 僕は、Tangityは専門性が高いというか、深掘りするようなデザインコンサルティングに長けている印象を持っていましたね。今後の展開がすごく気になっていました。
村岸 ありがとうございます。デザインの多様性が求められるなかで、専門性をどう広げていくかが重要だなと感じています。特にアウトプットしたデザインを誰がどの範囲でどうやって見るのかという意味での多様性がひと昔前に比べて飛躍的に広がりました。それとともに、従来は「ここからはグラフィックデザイナーの仕事」というように職域を区切っていた境界が、データサイエンティストやマシンラーニングのエンジニアなどの職域と重なることも増えて、デザインの定義が広くなったように思います。
浅井 それは実感します。2019年にカンヌライオンズという広告賞で審査員をしたのですが、従来の広告デザインの枠に収まらない複雑なコンセプトの空間展示やデータビジュアライゼーションなどが多数あって、「デザインってなんだっけ?」と考えさせられました。
顧客の課題は変わらない。変わったのはスピード感
ーークライアントが抱える課題も変化しているのでしょうか。
村岸 いいえ、それは以前と変わらない気がします。新しいブランドの立ち上げや、どう訴求していくかといった課題はいつの時代も同じじゃないでしょうか。
浅井 でも、課題解決までのスピードは速くなっていますね。大企業の動きがスタートアップのようなスピード感になっている。
村岸 それは本当にそうです。コンセプト検討からウェブ・アプリ構築まで行ったahamoはローンチまで約10カ月かかりました。またイタリア通信会社の案件では、Vodafoneイタリアのセカンドブランドの立ち上げとサービスリリースを8カ月で実施しました。顧客体験はもちろん、ストアの従業員やコールセンターまで含めた壮大なプロジェクトでしたが、この事業立ち上げをスピーディに実現することがマーケットにおいて、とても重要なことでした。Tangityは短い期間でこれを実現し、高い顧客満足度を達成する事業をつくりました。
浅井 おそらく企業も、世の中の変化のスピードをキャッチアップしようとしているんでしょうね。もっと新しい手法やテクニックがないだろうかと、クリエイティブチームに対する期待値も連鎖的に上がっている。でも、それってデザインコンサルティングの面白さでもあると思うんですよね。
村岸 その通りですね。
浅井 以前、日本ハムのお仕事をさせていただいた際に「食べる喜び」をさらに追求しつつ持続可能な社会の実現に貢献したいという同社の思いに対して、僕らは「パーパス(企業の存在意義)から見直しましょう」と話し、「お肉の会社ではなく、タンパク質の会社」という捉え方をしてはどうかと提案しました。
そうすると、アレルギーケアのプラットフォームを設けて専門医と相談できるサービスをつくるとか、お母さん同士のコミュニティサイトをつくるといった提案につながっていく。そのときも実際のアクションにつなげるまでのスピード感は約8カ月ぐらいでした。
クラフトの力と「本当に良いデザイン」
ーーデザインの定義の広がりがよくわかります。一方で、Tangityではデザイナーが実際に成果物を生み出す「クラフト」の力も大切にされていますね。
村岸 浅井さんのように、いわゆる「上流」のデザインをする人が増えましたが、それだけ関わる人間のスキルセットが多様化しているので、チームとして「ものをつくり出す力」は絶対になくしてはいけないと思っているんです。
どんなにきれいにカスタマージャーニーを描いたとしても、クライアントやその先のお客様に届けるクラフトのクオリティで気を抜いては意味がないですから。
浅井 ロジックも大事ではあるんですが、やはり最後は人が見て良し悪しを瞬間的に判断しますからね。僕もそこは気を抜きたくないと思っています。
例えば社内では、AIもかなり積極的に使ってはいますが、ゼロから1を生み出す作業には向いていないと思いますね。あくまで1を2にするプロセスを効率化するもので、AIだけで本当に良いものはつくれないと思う。
村岸 そう思います。僕は「良いデザイン」の判断基準のひとつは—それがアプリかグラフィックか、プロダクトかは問わず—クライアントのイシューを解決したり、新しい価値を提供したり、何か大きな変化をもたらすことだと思っているんです。「きれいだね」だけでよければAIで事足りるでしょうけれど、それでは変化は生まれない。これからはコンテンツの意味や本質がより問われる時代になるだろうと思います。
組織のオーケストレーションが鍵
ーーデザインコンサルティングの未来をどう想像しますか。
浅井 広告のクリエイティブって、ビジネス全体のクリエイティブで見れば数%の領域に過ぎないですよね。残りの90%に目を向けると、まさにブルーオーシャンというか、「あんなこともできる」「こんな角度で挑戦できる」という可能性しかない気がします。上流から関わることで、従来の広告という枠組みでは考えられなかった影響力をサービスやプロダクトに与えられるのは面白いと思いますし、そうしたプロジェクトに関わっていきたいと考えています。
村岸 AIに限らず、さまざまな先進技術をどうビジネスに活用していけばいいかという点は、技術開発の速度に比べてまだまだ未開拓な部分が多いように感じます。NTTデータというテクノロジー企業のバックグラウンドを持つデザイン集団として、僕らがそういうところへ入っていって、新たな価値を生み出すために組織デザインから細かなクラフトのクリエイティブまで一緒につくっていけたらと思います。展開領域をどんどん広げていきたい。
またTangityは実現可能性も重要視しています。デザイナーだけではなく、多様なスキルを持ったメンバーを重ね合わせ、価値の社会実装までしていくオーケストレーションをしていきたいですし、そうしたデザインコンサルティングファームへのニーズは、今後より大きくなっていくだろうと思います。(文/安藤智郎)
対談を終えて
改めてデザイナーの活躍できるフィールドが広がり、デザイナーが求められるスキル、経験が多種多様になってきたことがわかりました。そのなかで、デザインコンサルティングやクリエイティブディレクションをする人材が多様なデザイナーをうまくオーケストレーションすることがデザインの価値を最大化します。それと同時に、しっかりデザインチームとしてこだわったアウトプットを出していくことが大事であり、このアウトプットをつくるという意味でも、クラフト力はどんなデザイナーにとっても大事なスキルセットになってくると思います。(Tangity・村岸史隆)
※この記事は株式会社NTTデータとAXISの企画広告です。
本記事はデザイン誌「AXIS」228号「PRODUCT DESIGN 2024」(2024年4月号)からの転載です。