Japan Mobility Show 2023
未来のクルマに見るさまざまな素材

2023年10月28日(土)から11月5日(日)まで開催された「Japan Mobility Show 2023」へ足を運びました。これまでのTOKYO MOTOR SHOWから新たに生まれ変わり「乗りたい未来を、探しに行こう!」というコンセプトのもと、自動車の枠を超えたさまざまなモビリティを体感することができました。なかでもBEV(電気自動車)や自動運転を想定したモビリティが多く、各社で発表されたほとんどのコンセプトカーがこれらの要素を取り入れていました。コンセプトカーを中心に会場で見つけた素材に関するトピックスをご紹介したいと思います。

Bamboo

LEXUSからは、竹を使用したコンセプトモデル「LEXUS LF-ZL」 と「LEXUS LF-ZC 」が発表されました。竹は、成長が早くCO2の吸収量が多い特徴をもつことからサスティナビリティの観点でも注目されている素材です。LEXUSにおいても、ブランドシグネチャーマテリアルとして「竹」にフォーカスをあてており、今回は2つのコンセプトモデルの内装で「竹」が採用されていました。

「LEXUS LF-ZL」内装に竹を使用。「和」の上質感を演出している。

「LEXUS LF-ZC」内装に竹と銅の糸で編まれた伝導性を備えるテキスタイルが使用されている。テクノロジーを通じて竹という伝統的な素材の新たな可能性に挑戦し、環境配慮とラグジュリアスなデザインという2つの価値を発信していく。

アクリル樹脂

ホンダからは、回収した使用済みアクリル樹脂を再利用してつくられた「SUSTAINA-C Concept」が発表されました。資源を循環利用することで限りある資源の制約から解放され、地球環境の保護と自由な移動のよろこびを将来にわたって両立することを目指して開発されたモデルです。アクリル樹脂は色付け加工も簡単なうえに、塗装では表現できないラメやグラデーションといった加工も簡単にできることが特徴です。

「Honda SUSTAINA-C Concept」
上段: ボンネットにはグラデーションが施されている。
下段: リアウィンドウは半透明使用になっておりウィンカー表示やロゴ、電池の残量などを表示することが可能(左)。ホイールの一部にもアクリル樹脂が使用されている。マーブル模様などの自由な色表現ができる。

地産地消

マツダでは、持続可能な循環型モノづくりを実現するために地域特性を活かす研究が行われています。今回、お披露目されたコンセプトカーの「ICONIC SP」の内装には、デニム生地と同じ植物由来ファブリックを使用した藍染素材や牡蠣殻による再生素材など、広島県の特性を反映した素材が採用されていました。また、瀬戸内海特有の長い日照時間と温暖な気候を利用し、微細藻類を燃料生成に活用する研究も進められています。

「MAZDA ICONIC SP」

3Dプリンターによる加飾

ダイハツ工業では、クルマのつくり方、楽しみ方、関わり方を提案する「me:MO」が発表されました。モジュール化された構造によって、内装・外装の意匠から車両形態までカスタマイズできるのが特徴です。利用者のライフステージや用途の変化に応じて長く利用できるサスティナブルなクルマの提案でした。

「DAIHATSU me:MO」 3Dプリンターを使用して作製されている外板パネルが特徴。ユーザーの好みに合わせた装飾が可能で手軽にクルマのパーソナライズカスタムが楽しめる。

FRP素材

今回のモビリティショーの特徴の1つとしてスタートアップ企業が多数出展していたことが挙げられます。そのほとんどが鋼板ではなく繊維強化プラスチックFRP素材を使用したクルマの提案をしていました。色彩も質感も多様であり、これからのモビリティにおける注目すべき新たな素材だと感じました。

上段左から「TURING Machine α 」「AIM EV SPORTS 01 」「THK LSR-05」
下段左から「METAX XK(クロスケ→バンパー樹脂で成型)」「 AIM EV MICRO 01」 「HWE PUZZLE」「KG MOTORS Minimum Mobility Concept」

自動運転やBEVが増えることでクルマの在り方が変わり、それに伴って素材や色、車のつくり方も変化していくことが予測されます。素材の変化に伴い、表現できる内容も変わるため、今後も将来のモビリティに適したCMFを探求し、発信していきたいと思います。End