「トゥ エ モン トレゾア」、吉村順三設計の熱海の邸宅で
キュラトリアルプロジェクト「1977-」を発表

ファッションブランドの「トゥ エ モン トレゾア(Tu es mon Tresor)」は、建築家の吉村順三(1908-1997)が設計を手がけた神奈川県熱海市の邸宅でカプセルコレクション「1977-」を2023年11月21日(火)に発表した。

吉村順三設計の熱海の邸宅 © Shinkenchikusha

「1977-」は、ファッションと建築、デザイン、写真などのアートの領域を横断的に展開するキュラトリアル・プロジェクトである。2022年夏に行われた初のインスタレーションでは、吉村による邸宅の改修を行い、同ブランドのアイテムを展示するとともに、ル・コルビュジエやピエール・ジャンヌレ、シャルロット・ペリアン、ジョアキン・テンレイロといった建築家・デザイナーの作品を配置した。

今回は、ロサンゼルスを拠点にサボテンと多肉植物を使ったさまざまな表現活動を披露するデザインスタジオ「カクタス ストア(Cactus Store)」とコラボレーションして、庭園をサマーガーデンにアレンジする計画を発表。時間の経過とともに次第に失われた、庭園に込められた吉村の思想を、現代の文脈のなかに蘇らせることを試みる。

かつて家政婦の作業場として使われていたキッチン裏の空間と庭園を隔てていた高い生垣を取り払い、生き生きとしたディクソニアを植えることで、内部空間と庭園のゆるやかな境界を構築。伝統的な日本庭園やモダニズム建築のために数多くの庭園をデザインした、ブラジル人ランドスケープデザイナー ロバート・ブール・マルクスの作品から着想を得て、限られた種類の植物を入念に配置・構成した庭園をつくりあげていく。

ダイニングから芝生に開けた大きなガラス戸から見える花壇には、赤、青、黄のディッキアを植え、かつての施主である女性実業家が植えた色とりどりの花々と趣味であった園芸がもたらす暖かさを思い起こさせるものを構想。庭園のデザインプランは、設計図書の原本にあった吉村順三設計事務所のドローイングとも響き合う、美しいドローイングにより表現された。

なお、サマーガーデンの一般公開とカプセルコレクションの発売は2024年春を予定している。End