MAD Architectsがデザインした
浙江省安吉県の文化施設「Anji Culture and Art Center」

建築家のマー・ヤンソン(馬岩松)が率いる中国の建築設計事務所 MAD Architectsは、浙江省安吉県に文化施設「Anji Culture and Art Center」(2025年完成予定)のデザインを公開した。

中国南東部に位置する安吉県は「竹」と「白茶」が有名で、国連ハビタット(人間居住計画)賞を受賞した街である。今回のプロジェクトでは、東側に都市部が広がり西側に河川と山々を望むこの地域の特性を活かし、地元の建築環境と自然環境が共生するように設計。マー・ヤンソンは「この地域には独特のオーラがあるので、私たちはこの特性が日常生活にも溶け込むような設計を目指しました」と語っている。

敷地面積約14万9,000平米、総建築面積約12万平米で、安吉県特産の茶畑に囲まれた「笹の葉」のような白い屋根の下には、大劇場、カンファレンスセンター、レジャーセンター、スポーツセンター、青少年活動センター、アート教育センターの6つの施設が入居する。

波打つような白い瓦屋根のシルエットは白茶が栽培されている周囲の丘陵の起伏をイメージしており、その下にこれらの施設をバランスよく配置。1,300席を有する大劇場と2,000人収容可能なメインホールがあるカンファレンスセンターは2~3階建て、そのほかの4施設は1~2階建ての構成となる。

笹の葉を散らしたような屋根の重なりは、周囲の壮大な風景に視覚的な複雑さを与えるとともに、屋根の隙間から屋内に自然光が差し込む仕組みでもある。メインファサードには、中国でもっとも高い17mにも及ぶガラス壁を用いることで、透明感の高い建築が実現する。

敷地全体への配置計画は多孔的になっており、どの方向からでもアクセスが可能。両サイドに伸びる遊歩道から中央部に入ると、小高くなったオープンな屋外スペースが現れ、そこからは周囲の山並みや空の景色を一望できる。

点在する中庭は、屋内と屋外の境界があいまいなスペースとして機能する。また、西側にある広々としたステージは、パフォーマンスやコンサート、展示会向けの屋外会場として利用される。そのほか、屋上緑化や透水舗装、凹型緑地、雨水利用などを採用し、エネルギー使用量の低減も目指している。End