「KOYO BASE」Photos by Kenta Hasegawa

岐阜県土岐市の陶磁器メーカー 光洋陶器が運営しているうつわ複合体験施設「KOYO BASE」は「Clay to Table」をコンセプトに、さまざまなうつわの魅力を五感で体験できる施設となっている。建物の設計を手がけたのは、建築家の坂本拓也が率いるATELIER WRITE。

外観

エントランスには、フラットバーを抱き合わせてフルハイトのスチールサッシを採用。これにより、工場のような閉ざされた印象がなくなり、建物の入り口に相応しい明るく開かれたエントランスになっている。

エントランス

メインフロアとなる2Fに上がると、美濃焼のタイルで丁寧に仕上げたシンボリックなカフェダイニングが現れる。バックヤードは既存の荷物用リフトのあった南西角に集約することで、客席からは南東角に広がる自然の景色を望むことができる。さらに、客席の東側にあった3スパンの開口を高さのある連続した窓に変えることで、明るく眺望の良い空間に仕上がっている。

メインフロア（2F）

カフェダイニング

頭上には設備をできるかぎり設置しないようにして、垂直方向への広がりを演出。また、水平方向にも視線が抜けるように、ワークショップルームの間仕切りを透明なフルオープンの建具とするなど、倉庫建築の大空間を活かしたデザインだ。

カフェスペース

インテリアを素焼きの色に統一したことで、さまざまな人々を受け入れるニュートラルな背景を構築している。床や天井は工場の趣を残しており、隣の建物でうつわがつくられている臨場感を擬似的に体感できる。

岐阜県南部東濃地方のやきものである「美濃焼」は、その時々のニーズに応えて変化してきたことから「特徴がないこと」が特徴だとされている。「KOYO BASE」は、この美濃焼の特徴を落とし込んだ「中庸で懐の深い場」となることを目指していく。