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2023.08.15 11:58
unisize(ユニサイズ)は、ECサイトでの洋服の購入時に、一人ひとりに合うサイズを提案する国内シェア第1位のサイズレコメンドエンジン。国内外250のECサイト上で洋服のサイズがわからないという不満を解消し、月間200万人以上のフィッティングをサポートしている。
2023年6月、unisizeは「現代的で洗練された公共性」をコンセプトに、デザインや機能のリニューアルを含むリブランディングを行った。
本記事では、unisizeを運営するメイキップ代表取締役CEOの柄本真吾、デザインストラテジストの庄司 怜(AXISデザイン研究所)に、リニューアルの意図とそのプロセス、今後の展望を聞いた。
機能面への投資で成長してきたunisizeのこれまで
——サイズレコメンド機能を提供するサービスを始められたきっかけと、unisizeのこれまでについて教えてください。
柄本:unisizeは2016年2月にサービスを開始しました。当時は、多くの人がインターネットで洋服を買うようになったタイミングで、アパレルのEC化が進みはじめていました。洋服を購入するとき、ほとんどの人が自分に似合うかどうかを気にすると思いますが、当然ながらオンライン上で実際に試着はできません。私自身、もともと洋服が好きだったのですが、学生時代にラグビーをやっていたこともあり、サイズ選びに苦労した経験がありました。自分に合ったサイズがわからないのに、どうやってオンラインで服を買っているのだろうと不思議に感じていたので、買った服と自分の身体のサイズに必ずギャップが生じるはずだと考えたわけです。それを解消するサービスをつくったらビジネスになるのではないか、という発想がサービスを始めたきっかけです。
——今では国内トップのシェアですが、サービスの強みはどんなところでしょうか?
柄本:いちばんの強みは精度です。似たようなサービスはいくつかありますが、なかにはレコメンドされたサイズが正しくないこともあるようです。unisizeは、そのような事象が極めて少ない点が強みです。これを可能にしているのが、独自のアルゴリズムに基づいた約4万ブランドのボディデータベースです。アパレル業界では各ブランドが洋服をつくるために「ボディ」という、基準となるサイズのトルソーを持っています。このボディサイズ情報はブランドによって異なっていて、基本的にはブランド外に出回ることはありません。私たちはブランドごとのボディサイズを独自に推測してデータベースをつくっています。このボディサイズ情報の精度の高さが強みにつながっているのです。
——サービスの開始から7年が経ち、リブランディングに至った背景にはどのような課題があったのでしょうか?
柄本:私たちはこれまで、新しい機能を追加することで他社との差別化を図ってきました。機能面への投資は積極的に行ってきたものの、デザインに対する投資はほとんど行ってきませんでした。そんななか、クライアント企業から「デザインを改善して欲しい」という声が聞こえるようになりました。SaaS(ソフトウェア・アズ・ア・サービス)ということもあり、小さなアップデートを繰り返しながら成長してきたのですが、パッチワークのような開発をしていた弊害が出てしまい、例えばUI上のボタンひとつとっても、そこに統一感がない状態でした。しかし、社内にはデザインに対する知見が不足していて、何をどう変えたら良いのか対策を打てずにいました。
デザインコンセプト「現代的で洗練された公共性」
——デザインストラテジストとして外部から見たとき、unisizeのどこに課題を感じましたか?
庄司:UIなどの目に見える部分の良し悪しについて短略的な判断をする前に、誰のことを考えてデザインされているのかが不明瞭だと感じました。unisizeのクライアントはECサイトの運営者です。しかし、実際にサービスを体験し、その情報から商品を購入するのはエンドユーザーです。つまり、クライアントへの機能提供と、エンドユーザーのブランド体験の向上という、ふたつの価値提供を同時に実現しなければいけません。そのためには、それぞれの目線で課題を整理していくべきだと考えました。
まず、初期段階のヒアリングから、unisizeのエンドユーザーは若年層から中高年まで、とても幅広いことがわかりました。そのため、特定のセグメントにフォーカスするようなデザインにするわけにはいきません。また、国内外のUI/UXデザインのエキスパートに実際にアプリを体験してもらい、どんな印象を与えているのか検証を行った結果、強みであるはずの精度の高さや信頼感が表現できていないこと、洗練感が足りていないこともわかりました。
さらに、感性評価結果を用いたコレスポンデンス分析では、unisizeがもともと大切にしてきた安心感や精緻さなどが、少なからず個性になっていることもわかりました。
これらの結果からふたつの課題が見えてきました。ひとつは、安心感を持ちながら精度の高さや快適性を極め、多くの人に使ってもらうツールとしての「公共性」を向上させること。もうひとつは、現代的な印象へと洗練させることです。こうして「現代的で洗練された公共性」というデザインコンセプトを導き出しました。
柄本:最初はなかなかビジュアルの話にならないので、正直やきもきした時期もありましたが、今ならその手前の戦略や評価方法から詰めていくことが何より大事であることは納得できます。「洗練された」や「公共性」といったキーワードを通じて、unisizeが幅広いクライアントとエンドユーザーにサービスを提供することの意味を改めて理解しはじめました。特にコレスポンデンス分析は、誰かの主観ではなく客観的な見方の集合体で評価することができ、弊社のものごとを決める際の考え方とも合致していました。
庄司:サービスが「公共性」を目指すとき、それは多くのユーザーにとって価値があるものでなければなりません。unisizeのサービスは、エンドユーザーが各ブランドのECサイトで購入しようとする一連の体験のなかに埋め込まれる「フィッティングをサポートする」というひとつの機能です。幅広いクライアントのブランドの世界観を邪魔することなく、できるだけ馴染む必要があるという意味でも、誰もが使える、誰もが理解できる「公共性」が必要だと考えました。
もうひとつ意識していたのが、「デジタルだけど、ロングライフなデザインを」という点です。SaaSやデジタルUIは、常により良い状態にアップデートできるという特性があります。しかし、洗練された公共性のあるデザインにするためには、そのデザインはロングライフなものであるべきとも考えました。SaaSらしく機能や設えはアップデートしつづけながらも、根本的なデザインランゲージの部分はシンプルにすることで、多くのエンドユーザーが古さを感じずに、長く使いつづけられるものであることも大切だと考えたのです。
unisizeが目指すアパレルECのこれから
——リニューアル後の反応はいかがでしょうか?
柄本:UIのみならずサービスロゴの刷新なども行ったため、新しくなったことがしっかりと認知してもらえ、クライアント企業をはじめ評判は上々です。実際のデザインの良さはエンドユーザーによって判断されますが、リニューアルにあたってきちんとしたプロセスを踏んだことが評価につながっていると感じています。
——unisizeは今後どのようにデザインへの投資を進めていくのでしょうか?
柄本:目指すのはどこを切り取ってもデザイン的に優れている状態です。私たちはこれまで機能の完成度が60%の段階でも公開し、クライアントやエンドユーザーのフィードバックを得ながら改善を進める方法をとってきました。今後も完成度の高い状態を目指してアップデートを繰り返していきたいと思いますが、その際、機能面にだけ注力するのではなく、「現代的で洗練された公共性」というデザインコンセプトを軸に、マーケットリーダーとしてユーザーの期待や市場のニーズに応えていきたいと考えています。また、今回のリブランディングをとおして社員のデザインに対する感度も上がってきていると感じます。サービスだけでなく企業としても、デザイン的に優れている状態を目指していきたいと思います。
——アパレルEC業界において、これからunisizeは何を目指していくのでしょうか?
柄本:既に海外への展開や試着データを活用したマーケティングの取り組みなどが進んでいますが、オンライン上での試着体験には新たな可能性を見出しています。リアルな店舗での試着は鏡との距離に空間的な制限があるなど、良い試着環境とは言えないことも多い。そこで、例えばAIを使って自分が洋服を着た状態を再現し、それを動画で見られるといった、ただサイズが合うかどうかだけでなく、その洋服を着たときの魅力的な自分の姿が想像できるような体験を提供していきたいと考えています。これまでの常識にとらわれず、オンラインだからこそ実現できるワクワクするような試着体験を追求していきたいと思います。