日本の森林問題に向き合う
川合 優によるライフスタイルブランド「SOMA」の展覧会が開催

神渕神社の杉。

岐阜県美濃加茂市にアトリエを構える木工家 川合 優の展覧会「SOMA 川合優の思考と活動」が、2023年8月5日(土)から8月20日(日)まで、東京・虎ノ門のCURATOR’S CUBEで開催されている。

川合がディレクターを務めるライフスタイルブランド「SOMA」は、2016年からスタートし今年で8年目を迎える。日本古来の木とともに暮らす文化を現代に取り入れることで、森林問題の解決の糸口を探ろうという活動でもある。きっかけになったのは、川合が子供の頃から遊んでいた大切な雑木林が、全て伐採され太陽光パネルに埋め尽くされてしまったこと。その計画を知った日からたくさんの人に会い、業者と話し、行政に掛け合ったが、計画は実行された。自分には、止められるだけの力がなかった。本当の森の豊かさを伝えるには、どうすればよかったのか? もっと分かりやすく、もっと楽しく、もっと深く……。
ブランド名は、杣人(山で働く人)、杣仕事(山での仕事)などに使われていた「杣(そま)」に由来。これまでに、国産杉を使用したプロダクトの制作やワークショップを行い林業や針葉樹の魅力を伝えてきた。

「くるくる盆」

同展は、竹中大工道具館での個展(2019)やスウェーデン・ストックホルムでのグループ展(2022)を踏まえ、現時点までの「SOMA」の活動を紹介するもの。「森や木のことをもっと多くの人と共有するためにはどうしたらいいか?」という問いを主眼に置き、海外から日本を俯瞰的に捉えることで得られた知見を発表する。

「本展では、木目の読み方から始まり、木工を通して森の可能性を感じていただけたらと思っています」と語る川合

40年前杣人が隠岐の島で伐採し海を渡って京都で保管されていた杉。その杉材から川合は酒を納めるための瓶子をつくり、もとあった杉の切り株を探して里帰りを果たした。

伊勢神宮の式年遷宮などで使う木材を育てる山から伐り出される「官材」でつくられた片口。丹精込めてつくられる酒を注ぐ道具にふさわしい。デザインは山口信博(2014)

「紙棚」

関連イベントとして、8月12日(土)に三浦 豊(森の案内人)をゲストに迎えトークショーを開催。さらに、三浦が会場周辺を散策しながら、街のなかの森の見つけ方や木との対話の仕方をレクチャーするツアーも12日に開催される。End

地元の森林組合から買った檜でつくられた檜の椅子。穴あけは手回しのドリルを使い、座面は自家栽培の藁を詰め国産のいぐさで編む。ほとんど電力を使わないためCO2の排出量はとても少ない。

SOMA 川合優の思考と活動

会期
2023年8月5日(土)~8月20日(日)
時間
12:00~17:00 ※月曜休み
会場
CURATOR’S CUBE
(東京都港区西新橋2-17-1 八雲ビル3F)
企画
山内彩子(Gallery SU)
詳細
https://kawai-masaru.com/